Claude・Geminiとの実機比較結果はいかに?!GPT-5.4の概要・性能を解説!

Claude・Geminiとの実機比較結果はいかに?!GPT-5.4の概要・性能を解説!

山城 博規 / GMO天秤AI株式会社
【著者プロフィール】 山城 博規 / GMO天秤AI株式会社 やましろ ひろき 筆者
GMO天秤AI株式会社 代表取締役社長。GMOあおぞらネット銀行でAI・DX推進、金融インフラエンジニアを経て現職。「特定のAIに依存しない」をコンセプトに、複数AIを同時比較できるプラットフォーム「GMO天秤AI」を運営。個人向けのFree・Lite、ビジネス向けのStandard・Bizの4プランを提供するほか、AIリスキリング事業も展開中。

GPT-5.4は、推論・コーディング・エージェント機能を1モデルに統合したOpenAIの最新フラッグシップ。本記事では公式発表の概要を整理した上で、GPT-5.4・Claude Sonnet 4.6・Gemini 3.1 Proの最新3モデルに同一プロンプトを投げた実機比較の結果を掲載する。GPT-5.2との世代間比較も行った。

結論

GPT-5.4をAPI経由で実際に試した結果、以下の傾向が見えた。

  • 日本語要約は4モデルとも高水準で差が小さい。GPT-5.4は最も簡潔(146字)で指示遵守が正確。Claude Sonnet 4.6は丁寧に文字数まで自己申告する几帳面さ

  • コード生成でGPT-5.4が頭ひとつ抜けている。状態機械によるCSVパーサー実装、二重の日付バリデーションなど、設計の堅牢さで他モデルとの差が明確

  • 構造化タスクはClaude Sonnet 4.6が最も見やすい。進捗バー、色分け、推奨アクションまで含む高品質なレポート。GPT-5.4は情報量で勝る

  • GPT-5.2→5.4の進化は構造化タスクで顕著。リスク分析の粒度が上がり、出力が1.7倍に増加。コード生成ではトークン効率が改善

  • 応答速度はGPTが最速、Gemini・Claudeは思考時間が長い分じっくり型

概要

GPT-5.4はOpenAIが2026年3月5日にリリースした新モデル。公式では「professional work向けで最も高性能かつ効率的なfrontier model」と位置づけている。

これまで別々だった推論(oシリーズ)・コーディング(Codex)・エージェント機能が1モデルに統合された。

バリアント(派生モデル)

バリアント

API名

用途

GPT-5.4

gpt-5.4

汎用フロンティアモデル

GPT-5.4 Thinking

ChatGPT内で利用

推論強化版(思考過程を表示)

GPT-5.4 Pro

gpt-5.4-pro

最高性能。高難度タスク向け

利用可能プラットフォーム

ChatGPT、OpenAI API、Codex、Microsoft Foundry(Azure経由)、ChatGPT for Excel / Google Sheets

ChatGPTプラン別の利用範囲

プラン

GPT-5.4

GPT-5.4 Thinking

GPT-5.4 Pro

Free

-

-

-

Plus(月額$20)

利用可

利用可

-

Pro(月額$200)

利用可

利用可

利用可

Team / Enterprise

利用可

利用可

管理者設定による

主なポイント

コンテキスト長がOpenAI史上最大に

最大1.05M(105万)トークンの入力に対応。出力は最大128Kトークン。長大なドキュメントやコードベースを一度に処理できる。

Computer Useにネイティブ対応

Computer Useとは、AIがデスクトップ画面を認識し、マウスやキーボードを操作する機能。GPT-5.4はPlaywright等のツール経由で、ブラウザやアプリを直接操作できる。

実務タスクの強化

スプレッドシートのモデリング、プレゼン作成、ドキュメント作成など、ビジネスの実務タスクで大幅な性能向上。

効率性の改善

Tool Search機能使用時のトークン消費がGPT-5.2比で47%削減。個別の虚偽主張(ハルシネーション)率が33%低減、回答全体にエラーが含まれる確率が18%改善。

Tool Search API

従来のfunction callingでは、利用可能なツールの定義をすべてプロンプトに含める必要があった。Tool Search APIでは、ツール名と短い説明だけをモデルに渡し、必要時にツールの詳細定義を動的に取得する。大量のツールを扱うエージェント開発で、トークン消費とレイテンシを削減できる。

ベンチマーク

ベンチマーク

GPT-5.4

GPT-5.2

Claude Opus 4.6

Gemini 3.1 Pro

OSWorld-Verified(デスクトップ操作)

75.0%

47.3%

-

-

GDPval(知識ワーク)

83.0%

-

78.0%

-

SWE-Bench Pro(ソフトウェア工学)

57.7%

55.6%

-

-

BrowseComp(Web検索)

82.7%

65.8%

-

-

GPQA Diamond(抽象推論)

92.8%

-

77.3%

94.3%

MMMU Pro(視覚推論)

81.2%

-

85.1%

80.5%

スプレッドシートモデリング

87.3%

68.4%

-

-

OSWorld-Verified(デスクトップ操作)では、人間の基準値72.4%を初めて超えた。GPT-5.2の47.3%からの大幅な伸び。

GPQA Diamond(抽象推論)ではGemini 3.1 Proが94.3%でトップ。MMMU Pro(視覚推論)ではClaude Opus 4.6が85.1%で最高値。得意分野はモデルごとに異なる。

※ 表中の「-」は各社がスコアを公表していないことを示す。ベンチマークの選定・測定条件は提供元によって異なるため、横比較は参考程度に。

価格(API)

モデル

Input / 1Mトークン

Output / 1Mトークン

コンテキスト長

GPT-5.4

$2.50

$15.00

1.05M

GPT-5.4 Pro

$30.00

$180.00

1.05M

Claude Sonnet 4.6

$3.00

$15.00

200K

Gemini 3.1 Pro

$2.00

$12.00

2M

GPT-5.4の入力単価は$2.50/1Mトークンで、競合と同等水準。ただし272Kトークン超のプロンプトでは入力が2倍、出力が1.5倍に加算される。272Kトークンは日本語で約20万字、書籍1冊強に相当。

GPT-5.4 ProのAPI価格はInput $30.00 / Output $180.00で、標準版の12倍。ChatGPT Pro(月額$200)でも利用可能。

実機検証: 4モデル出力比較

GPT-5.4の実力を確かめるため、同一プロンプトを4モデルのAPIに投げて出力を比較した。比較対象は GPT-5.2(前世代)、Claude Sonnet 4.6(Anthropic最新)、Gemini 3.1 Pro(Google最新)。プロンプトは3種類。

検証1: 日本語要約

「LLMの進化がソフトウェア開発に与える影響」に関する約400字の文章を、200字以内で要約するよう指示した。

GPT-5.4:

LLMの進化でAIは推論・コード生成・PC操作まで担うエージェント化が進み、開発現場ではAIコーディング支援の利用が2025年に約60%へ拡大。一方で、生成コードの品質・安全性、脆弱性混入、AI依存によるデスキリングが課題化。今後はAIリテラシーを見直し、人間との協働モデル設計が重要となる。

GPT-5.2:

LLMの発展でAIはテキスト生成から推論・コード生成・PC操作まで行うエージェントへ進化し、開発現場ではCopilot等の普及が2025年に約60%に達した。一方、生成コードの品質・安全性、とくに脆弱性混入リスクやAI依存によるスキル低下が課題で、AIリテラシー再定義と人間との協働モデル設計が重要となる。

Claude Sonnet 4.6:

LLMの進化により、AIはテキスト生成を超えたエージェント的存在となり、開発者の約60%がAIコーディングアシスタントを活用するまで普及した。一方で、生成コードへのセキュリティ脆弱性混入リスクや、AI依存による開発者のスキル低下(AIデスキリング)も課題として浮上している。今後はAIと人間の効果的な協働モデルの設計が、技術経営における最重要テーマとなる。(138字)

Gemini 3.1 Pro:

近年、LLMの進化によりAIは高度な推論や操作を行うエージェントとなり、ソフトウェア開発現場ではAIアシスタントが広く普及している。一方で、生成コードのセキュリティリスクなど品質面の懸念や、AI依存に伴う開発者のスキル低下といった課題も浮上している。こうした利点と課題を踏まえ、今後はAIと人間の適切な協働モデルをいかに設計するかが、技術経営における最重要テーマとなっている。(188字)

指標

GPT-5.4

GPT-5.2

Claude Sonnet 4.6

Gemini 3.1 Pro

文字数

146字

153字

138字

188字

200字以内の指示遵守

守った

守った

守った

守った

具体的数値の保持

60%を保持

60%を保持

60%を保持

数値なし

応答時間

2.4秒

2.1秒

3.1秒

16.4秒

4モデルとも高水準。GPT-5.4は最も圧縮率が高く、要点を漏らさない。Claude Sonnet 4.6は文字数を自己カウントして申告する丁寧さが目立つ。Gemini 3.1 Proは文章としての完成度は高いが、「60%」という具体的数値を落としており、事実保持の精度でやや劣る。GPT-5.2→5.4の差は小さく、要約タスクでは世代差は顕著ではない。

検証2: コード生成(TypeScript CSVパーサー)

銀行明細CSV(日付・摘要・入金・出金・残高)をパースする関数の実装を依頼。摘要にカンマが含まれるケースのハンドリングやバリデーションも要件に含めた。

指標

GPT-5.4

GPT-5.2

Claude Sonnet 4.6

Gemini 3.1 Pro

出力トークン数

966

1,301

3,681

1,360

応答時間

11.2秒

14.6秒

43.0秒

37.3秒

CSVパーサー

自前実装(状態機械)

自前実装(状態機械)

自前実装(状態機械)

自前実装(状態機械)

ダブルクォート処理

エスケープ(""→")対応

エスケープ対応

エスケープ対応

エスケープ対応

バリデーション

列数・日付・金額を個別検証

列数・日付・金額を個別検証

列数・日付・金額を個別検証

列数・日付・金額を個別検証

日付バリデーション

正規表現+Date整合性チェック

正規表現+Date整合性チェック

正規表現+Date整合性チェック

正規表現のみ

型定義

export type + const assertion

interface

interface + ParseResult型

export interface

使用例

あり

あり

あり

なし

テスト

なし

なし

あり(jest)

なし

GPT-5.4はトークン効率が最も良い。GPT-5.2と比べて出力トークンが26%削減されながら、同等の品質を維持している。これは公式発表の「トークン効率47%改善」と整合する。

Claude Sonnet 4.6は出力量が圧倒的に多い(3,681トークン)。ParseResult型の導入、jestテストコードの付属など、最も「本番投入に近い」コードを出力した。ただしその分、応答時間は43秒と最も遅い。

Gemini 3.1 Proは日付バリデーションが正規表現のみ(2月30日を通してしまう可能性)で、4モデル中やや弱い。

検証3: 構造化・推論(Slackメッセージの状況整理)

プロジェクトの進捗に関するSlackメッセージ群から、進捗状況・担当者のタスク・リスク・次のアクションを構造化するよう指示した。

指標

GPT-5.4

GPT-5.2

Claude Sonnet 4.6

Gemini 3.1 Pro

出力トークン数

1,416

895

1,376

768

出力文字数

2,106字

1,269字

1,636字

1,376字

応答時間

17.2秒

12.2秒

26.1秒

18.4秒

構造化の粒度

5セクション

4セクション

4セクション+推奨

4セクション

リスク分析

4つ(具体的)

3つ

3つ(重要度付き)

2つ(重要度付き)

進捗率の推定

なし

なし

「約75〜80%」と明示

なし

視覚的工夫

なし

なし

進捗バー・色分けアイコン

ステータスアイコン

アナリスト所見

なし

なし

コンティンジェンシープラン提案

なし

GPT-5.2→5.4の進化がこのタスクで最も顕著。出力文字数が1.7倍に増加し、リスク分析が3つ→4つに。より深い行間読みが可能になっている。

Claude Sonnet 4.6が最も印象的な出力。進捗バー(████████░░)、色分けアイコン(🔴🟡🟢)、テキストベースの優先順位表、さらに「アナリスト所見」としてコンティンジェンシープランまで提案。指示を超えた付加価値を出している。

Gemini 3.1 Proは簡潔で読みやすいが、リスク分析は2つにとどまり、情報量ではGPT-5.4・Claudeに劣る。

検証まとめ

項目

GPT-5.4

GPT-5.2

Claude Sonnet 4.6

Gemini 3.1 Pro

日本語要約

最も簡潔

GPT-5.4と同等

丁寧(字数申告)

数値を落とす

コード生成

最も効率的

同品質だが冗長

最も実務的(テスト付き)

やや弱い

構造化・推論

情報量最多

標準的

最も見やすい

簡潔

応答速度

速い

速い

遅い

遅い

トークン効率

最小

中

最大

中

GPT-5.2→5.4の進化: トークン効率の改善が最も明確な変化。同等品質のコードを26%少ないトークンで出力する。構造化タスクでは情報の深さが増した。要約タスクでの差は小さい。

3社最新モデル比較: GPT-5.4はバランス型で応答も速い。Claude Sonnet 4.6は時間をかけて最も「実務投入に近い」出力を生成する。Gemini 3.1 Proは簡潔だが、細部の精度でやや劣る場面があった。

所感(GMO天秤AI視点)

AI事業を運営する立場として、GPT-5.4で注目しているのはComputer Useの統合。これまでデスクトップ操作を自動化するには、スクリーンショット取得→画像認識→操作指示という別建てのエージェントを組む必要があった。モデル本体に統合されたことで、「ブラウザで情報を調べて、Excelにまとめて、メールで送る」といった一連の業務フローを単一のAPI呼び出しで設計できるようになる。

実機検証で見えたのは、モデルごとの「性格の違い」。GPT-5.4は速くて効率的、Claudeは丁寧で実務的、Geminiは簡潔。どれが最強かではなく、タスクに応じて使い分ける時代に完全に入っている。

GPT-5.2からの進化は、劇的というよりも着実。トークン効率の改善は、API利用コストに直結するため実務上のインパクトは大きい。

参考リンク

フロンティアモデル競争タイムライン(2026年2-3月)

日付

モデル

提供元

特徴

2/5

Claude Opus 4.6

Anthropic

視覚推論・エンタープライズタスクに強み

2/17

Claude Sonnet 4.6

Anthropic

Opus級性能をSonnet価格帯で

2/19

Gemini 3.1 Pro

Google

16ベンチ中13で最高、2Mコンテキスト

3/5

GPT-5.4

OpenAI

Computer Use・エージェント統合で差別化

2026年2月から3月にかけて、主要3社が立て続けにフラッグシップモデルを投入。競争は一段と加速している。