📌 この記事の要約
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新モデル「Gemini 4 Argon」を発表
出力トークン数の上限が6万4000トークンから100万トークンへ拡大。19項目のベンチマークのうち14項目で最高値を記録した一方、FrontierSWE v2などコーディング評価では他社モデルが上回る項目もある。 -
無料ユーザーは10月9日からFlash-Liteのみに
AIサブスクリプション未契約の場合、これまで使えたFlashとProが対象外に。Google AI PlusもProを使えなくなり、Proを使うにはGoogle AI Pro以上が必要になる。 -
Gemは終了し、後継の「スキル」へ
個人アカウントでは2026年11月にGemのサポートが終了。既存のGemは自動でスキルへ移行されるが、CanvasやDeep Researchなど未対応の機能もある。 -
Gemini Liveに視覚支援機能「Guided Vision」
カメラ映像をもとに周囲の様子を音声で説明し、見たいものを画面に収める動かし方も案内する。Android 9以降の端末で、Gemini Liveが対応する地域と言語で利用できる。
9月末から10月初旬にかけて、GoogleからGemini関連の発表が相次ぎました。米国時間9月30日には新しいフロンティアモデル「Gemini 4 Argon」を発表し、同じ日にGeminiアプリへ「スキル」の提供も始めました。10月1日にはGemini Liveへ視覚支援機能「Guided Vision」が加わりました。
さらに、10月初旬にはGeminiアプリで利用できるモデルを料金プランごとに変更する方針も明らかになりました。無料ユーザーは10月9日からProとFlashを選べなくなり、利用できるのはFlash-Liteだけになります。新モデルの発表だけでなく、無料版の位置づけやGeminiアプリの使い方まで一気に変わろうとしています。
Googleは米国時間9月30日、新しいフロンティアモデル「Gemini 4 Argon」を発表しました。
出力上限100万トークンのGemini 4 Argonを発表
今回のニュースの中心となったのがGemini 4 Argonです。Googleは、実務に近いソフトウェア開発や法務、財務などの知識労働、サイバーセキュリティの防御を主な用途として想定しています。長く複雑な作業を続けながら深い推論を維持できることが特徴です。
大きな変更が出力トークン数です。従来の上限だった6万4000トークンから100万トークンへ拡大し、1回の処理で数十万トークンを生成するような長いタスクにも対応します。これは入力できる情報量を示すコンテキストウィンドウではなく、モデルが出力できるトークン数の上限です。
社内ではすでに数千人のGoogle従業員がArgonを利用しています。量子コンピューティングの研究では、ボトルネックとなるサブルーチンを最適化し、公表済みの基準値を数分で40%上回りました。データセンターでは複数のArgonエージェントが性能計測データを分析してメモリの最適化箇所を探し、展開後に300TiBを超えるメモリを解放したとしています。
C/C++からRustへの移行にも使われています。動画デコーダのlibgav1では既存のRust版に含まれる3万2000行のSIMDコードを置き換え、同じ映像を出力しながら処理速度を2.7倍に高めました。
料金は導入価格が入力100万トークンあたり2ドル、出力100万トークンあたり10ドルです。キャッシュ済みの入力は入力単価から95%引きとなり、導入期間終了後は入力4ドル、出力20ドルへ移行します。
Googleが公表したGemini 4 Argonのベンチマーク結果です。知識労働や長いタスクを扱う評価で高い性能を示しています。
他社モデルを上回る項目が多いが、コーディングでは順位が割れる
Google DeepMindは、OpenAIのGPT-6 AstraやAnthropicのClaude Fable 5.1、Claude Opus 5.5とArgonを比較した結果も公開しました。18種類のベンチマーク、計19項目のうち、Argonが最高値を記録したのは14項目で、そのうち1項目は同率首位でした。
企業の知識労働を測るVals Indexは68.9%、多段階の財務リサーチを評価するVals Finance Agent v2は65.4%でした。長いソフトウェア開発タスクを評価するDeepSWE v1.1でも77.9%を記録し、25万6000~100万トークンの長い文脈を扱うGraphWalksでは84.2%と、比較対象となった他社モデルの65.0~71.8%を上回っています。
一方ですべてのコーディング評価で首位というわけではありません。FrontierSWE v2はGPT-6 Astraが65.5%、Argonが55.0%、Terminal-bench 4.0はClaude Opus 5.5が66.4%、Argonが57.4%でした。Google自身が公開した比較表でも、用途によって優位なモデルが分かれています。
Argonは現在、Googleの「Fairwind Program」を通じて一部の信頼できるサイバー防御組織へ先行提供されています。一般への展開時期はまだ示されておらず、今後は開発者や企業、一般ユーザーへ対象を広げ、有料API利用者とGoogle AI Ultra契約者から提供を始める予定です。
無料ユーザーは10月9日からProもFlashも使えなくなる
同じ時期に、Geminiアプリを普段使っているユーザーにとってさらに直接的な変更も明らかになりました。GoogleはGeminiアプリのヘルプで、2026年10月から個人アカウントで利用できるモデルをGoogle AIプランごとに変更すると案内しています。
最も大きく変わるのが無料版です。AIサブスクリプションを契約していないユーザーは10月9日から、利用できるモデルがFlash-Liteのみになります。これまで無料でも利用できたFlashとProは対象外です。
Google AI PlusもProを利用できなくなり、Flash-LiteとFlashの2モデルになります。変更時期は契約者へメールで案内されます。Google AI ProとAI Ultraでは引き続きFlash-Lite、Flash、Proの3モデルを利用できます。
モデルの選び方にも変更が入ります。利用可能な各モデルでエフォートレベルを「低」「中」「高」から選択でき、高くするほど多くの計算資源を使って詳しい回答を生成します。その分、利用上限の消費も増えます。さらに、日本語版の公式ヘルプでは、最大限の並列推論を使う「Deep Think」はAI ProとAI Ultraで利用できると案内しています。
10月の変更後、無料版はFlash-Liteのみとなり、AI PlusでもProは利用できなくなります。
Gemは終了へ、後継の「スキル」は複数を組み合わせられる
モデルだけでなく、Geminiを自分向けにカスタマイズする仕組みも変わります。Googleは米国時間9月30日、Geminiアプリに「スキル」を導入しました。よく使う指示を保存しておき、チャットから呼び出して繰り返し使える機能です。スキル自体はGoogle AIの有料サブスクリプションを契約していなくても利用できます。
たとえば、文章を特定の書式へ整える手順やプレゼン資料をチェックするルールなどをスキルとして保存できます。「/」に続けてスキル名を入力して指定できるほか、Geminiが現在の依頼に合うスキルを自動で適用することも可能です。1つのチャットで複数のスキルを組み合わせられる点もGemとの違いです。
この導入に伴い、従来の「Gem」は終了します。個人のGoogleアカウントでは2026年11月、WorkspaceのBusiness、Enterprise、Non-Profitでは2027年3月、Educationでは2027年6月にサポートを終える予定です。既存のGemは対応するファイルとともに自動でスキルへ移行されるため、すべてを手作業で作り直す必要はありません。
ただし、現時点ではGemで利用できる機能のすべてがスキルに対応しているわけではありません。動画や音楽の作成、Canvas、Deep Research、ガイド付き学習などは未対応です。Google Labsの実験的なGemとミニアプリ作成サービス「Opal」も、個人アカウントのGemと同じ11月に終了します。
Geminiに追加された「スキル」。よく使う指示を保存し、チャットから呼び出して利用できます。
Gemini Liveにはカメラで周囲を案内するGuided Vision
米国時間10月1日には、Gemini Liveへ「Guided Vision」が加わりました。視覚障害のある人や弱視の人などを想定した視覚支援機能で、スマートフォンのカメラ映像をGeminiと共有すると、周囲の様子をリアルタイムに音声で説明します。
単に映っている物を説明するだけではありません。カメラが上を向きすぎている場合や対象に近すぎる場合には、「右へゆっくり動かす」「少し下へ向ける」「一歩下がる」など、見たいものを画面に収めるための案内も音声で返します。食品ラベルの細かい文字を読む、色の違いを確認する、暗い場所でメニューを読む、部屋の中で物を探すなどの利用が想定されています。
開発では視覚情報の通訳サービスを提供するAiraと協力し、1000人を超えるテスターが参加しました。Guided VisionはAndroid 9以降の端末で、Gemini Liveが対応する地域と言語で利用できます。Googleは、移動支援や障害物の検知には使わないよう案内しています。
Guided Visionでは、カメラ映像を解析し、探している物の場所などを音声で案内してくれます。
高性能モデルは有料プランへ、無料版との違いが明確に
今回の変更で、Geminiアプリの無料版と有料プランの差はさらに大きくなります。10月9日以降、無料ユーザーが選べるのはFlash-Liteだけになり、Proを使うにはGoogle AI Pro以上が必要です。
一方、新たに発表されたGemini 4 Argonも、一般展開では有料API利用者とGoogle AI Ultra契約者が最初の対象です。Googleは高性能モデルをすべてのユーザーへ同じように開放するのではなく、必要な計算量や用途に応じて提供先を分ける方向へ進んでいます。
無料版でProやFlashを使っている人は、まず10月9日の変更を確認しておきたいところです。Gemは11月に自動でスキルへ移行されますが、CanvasやDeep Researchなど現時点で未対応の機能もあるため、普段使っているGemがスキルでも同じように動くか確認しておくとよいでしょう。
- 【著者プロフィール】 星川アイナ ほしかわ あいな AIライター
- はじめまして。テクノロジーと文化をテーマに執筆活動を行う27歳のAIライターです。AI技術の可能性に魅せられ、情報技術やデータサイエンスを学びながら、読者の心に響く文章作りを心がけています。休日はコーヒーを飲みながらインディペンデント映画を観ることが趣味で、特に未来をテーマにした作品が好きです。
- 【著者プロフィール】 柳谷智宣 Yanagiya Tomonori 監修
- ITライターとして1998年から活動し、2022年からはAI領域に注力。著書に「柳谷智宣の超ChatGPT時短術」(日経BP)があり、NPO法人デジタルリテラシー向上機構(DLIS)を設立してネット詐欺撲滅にも取り組んでいます。第4次AIブームは日本の経済復活の一助になると考え、生成AI技術の活用法を中心に、初級者向けの情報発信を行っています。
