📌 この記事の要約
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GPT-6 Astraは、複数工程の仕事を成果物まで仕上げられる
調査、プログラム実行、ファイル作成などを組み合わせ、比較ツールやウェブページを制作できます。 -
Workでは調査から実装までまとめて依頼できる
20社の比較表、キャンペーンページ、3Dレースゲームを実際に作り、完成度を検証しました。 -
重い作業ほど強みを発揮する
利用枠やAPI料金を踏まえ、人手では時間がかかる仕事に絞って使うのがポイントです。 -
公開や送信などの最終操作は人が確認する
AIに任せる範囲と、人間が最終確認する範囲を事前に分けると安全に運用できます。
2026年9月3日、OpenAIが新たなフラッグシップモデル「GPT-6 Astra」を発表しました。特徴は、調査やプログラミング、PC操作などを組み合わせ、いくつもの工程がある仕事を進める能力です。たとえば、サービスの料金や機能を調べて、条件で絞り込める比較表を作ったり、大まかな要望から商品紹介ページや実際に遊べる3Dゲームを制作したりできます。
生成AIに仕事を頼むとき、これまでは「答えを返してもらう」使い方が中心でした。しかし、AIが自ら必要な作業を組み立て、途中でツールを使いながら、実際に利用できる成果物まで仕上げられるようになると、仕事での役割は大きく変わります。今回は、こうした使い方を前提に進化したAstraについて、特徴や使い方の解説と、実際に試してわかった実力のレビューをお届けします。
OpenAIが2026年9月3日に発表した、GPT-6 Astraの公式ページです。
複数の作業をつなぎ、成果物まで仕上げる力が伸びた
GPT-6 Astraは、利用する場所によって画面上の表記が異なります。ProやBusiness、Enterpriseでは、通常のChatから「6 Pro」を選んで利用できます。一方、Workでは思考量の設定画面に「GPT-6 Astra」と表示されます。Plusでは通常のChatで「6 Pro」を選べませんが、WorkやCodexからAstraを利用することは可能です。
通常のChatでもAstraの推論能力を使えますが、今回注目したいのは、調査やプログラムの実行、ファイル作成などを組み合わせ、成果物まで仕上げる力です。そこで、本記事のレビューでは、こうした一連の作業をまとめて任せられるWorkを中心に試します。
通常のChatでは「6 Pro」と表示されます。Workでは「GPT-6 Astra」と表示されるため、画面上の名称が異なります。
PC操作の評価であるOSWorld 2.0では、Astraのスコアは72.6%で、前世代のGPT-5.6 Solの65.7%を上回りました。同評価の所要時間のシミュレーションでも、1タスクあたり約75分から約40分へ短縮されています。コマンドを使ったコンピューター上の作業を評価するTerminal-Bench 4.0も、Solの37.3%から57.9%に向上しており、画面を操作する力とプログラムを使って問題を解く力の両方が伸びています。
こうしたタスクでは大量の情報を扱えることも重要です。APIで提供されるモデルの仕様では、一度に扱える情報量は最大105万トークンと大きいのが特徴です。トークンはAIが文章などを処理するときの単位で、多数の資料や長いプログラムを参照しながら作業を進めるための容量と考えるとわかりやすいでしょう。長文を読ませるだけでなく、資料に書かれた条件を別の成果物へ反映させる用途でも力を発揮してくれます。
PC操作やプログラムを使う作業では、前世代を上回る評価結果が示されました。
20社を調査し、操作できる比較表まで作ってみる
まずは、ウェブ版ChatGPTのWorkでAstraを使い、クラウド勤怠管理サービスを比較するツールを作ってみましょう。Workではブラウザやプログラムの実行環境、ファイルなどを使い分けながら作業を進められます。今回は20社を調査したうえで、条件による絞り込みや並べ替えができるウェブページまで仕上げてもらいます。
ここで確かめたいのは、20社の名前を挙げられるかどうかではありません。サービスごとに異なる料金体系を読み解き、同じ条件で比較できるように整理し、さらに利用者が候補を選びやすい画面まで作れるかがポイントです。
使用したプロンプト
日本国内で提供されているクラウド勤怠管理サービスを20社、公式サイトを優先して調べてください。従業員50人で利用する場合の月額料金を算出条件とともに示し、主要機能や無料プランの有無を比較してください。確認できない項目は推測せず「要確認」と記載し、根拠のURLと確認日を付けてください。料金の並べ替えと、機能や無料プランの有無による絞り込みができる比較表を、ブラウザで開ける1つのHTMLファイルとして作成してください。調査メモや設計案で止めず、ファイルの作成まで進めてください。
完成した比較表は、調査結果を読むための資料ではなく、サービス選定そのものに使えるツールになりました。たとえば、無料プランの有無や必要な機能で候補を絞り、その中から料金の安い順に比較できます。会議中に条件を変えながら検討できるため、別途表を作り直す必要もありません。
各サービスには「根拠・詳細」も用意され、料金や機能の情報源となった公式ページを表から開けます。気になるサービスが見つかったら、料金の算出条件や最低利用人数、初期費用などを元情報までさかのぼって確認できるため、AIの調査結果だけを鵜呑みにせずに選定を進められます。
Workでは、思考量の設定画面に「GPT-6 Astra」と表示されます。通常のChatとは表記が異なります。
調査結果を整理するだけでなく、条件を変えながら候補を絞り込める比較表に仕上げられます。
大まかな要望からキャンペーンページを作ってみる
次は、架空の商品を紹介するキャンペーンページを作ってみます。今度は調査能力ではなく、文章や配色、余白、動きなどを組み合わせ、ひとつのウェブページとして仕上げる力を確かめます。商品の基本設定やターゲット、完成条件を伝え、配色や書体、具体的な見せ方はAstraに任せました。
使用したプロンプト
架空の炭酸水ブランド「レベリング」のキャンペーンページを、1つのHTMLファイルで作ってください。仕事の合間に頭を切り替えたい会社員に向けた、強炭酸・無糖・200ml缶という設定のブランドです。ページを開いた人が、どんな商品でどんなときに飲むものかを最初の画面で理解し、そのまま特徴まで読み進められる構成にしてください。配色や書体、余白、動きのある演出は、このブランドに合うとあなたが判断したものを選んでください。スマートフォンでも読みやすくし、外部の画像ファイルは使わず、ブラウザで開くだけで確認できる状態にしてください。
完成したページでは、青とライム色を基調に、最初の画面で「強炭酸・無糖・200ml缶」を大きく提示しています。缶のビジュアルや泡のアニメーション、3つの特徴、飲むシーンまで用意され、1つのHTMLだけで商品ページとして成立していました。
こうした試作品の利点は、文章だけで企画を説明するよりも、完成形を具体的に想像しやすいことです。「爽やかなデザインにしたい」「仕事中の気分転換を訴求したい」と言葉で伝えるだけでは、人によって思い浮かべる画面は違います。実際に動くページがあれば、商品の見せ方や情報量、画面での読みやすさを見ながら議論できます。
もちろん、そのまま公開するほどのクオリティではありません。企画の初期段階で触れる試作品を作り、「もっと商品を大きく見せたい」「説明を減らしたい」と具体的な修正点を見つける用途に向いています。作る手間が大きかった試作品を短時間で用意できれば、アイデアを検討する段階そのものを前倒しできます。さらに、チャットで修正を重ねながら、完成版のウェブページへ近づけていくこともできます。
商品設定や完成条件を伝えると、配色やレイアウト、アニメーションまで含むページを試作できました。
細かな仕様を決めずに3Dレースゲームを作ってみる
続いて、実際に操作できる3Dレースゲームを作ってみましょう。ゲームは、立体的な風景を表示するだけでは成立しません。キー操作への反応やコース、速度変化、タイム計測など、複数の仕組みが連動して初めて遊べるものになるため、Astraの設計や実装の力を試す題材になります。
OpenAIが公開した開発事例には、宇宙から惑星へ近づき、そのまま地表へ降りて歩き回れる「Void Explorer」があります。遠くに見える星が単なる背景ではなく、実際に向かえる場所として作られているのが面白いところです。開発者がプレイして気づいた動作の遅さや見た目の問題を伝え、Astraが原因を調べて改良を重ねる様子も紹介されています。
今回は、もっと身近なブラウザゲームでその力を試します。専門用語や細かなゲーム仕様は指定せず、ブラウザで開いて遊べること、1つのHTMLファイルにまとめること、完成後に自分で動作確認することを最低条件にしました。コースやマシン、ゲームを成立させるための要素はAstraに判断してもらいます。
使用したプロンプト
ブラウザで遊べる3Dのレースゲームを作ってください。HTMLファイル1つにまとめて、ブラウザで開いたらすぐ遊べるようにしてください。どんなコースや車にするか、どんな要素を入れるかはおまかせします。作ったら自分で動かして、最後まで遊べる状態か確かめてから渡してください。
完成したのは、夜の港を舞台にしたレースゲームです。5台のライバルや難易度、ニトロ、加速パッド、順位・周回・速度表示、リザルト画面まで用意されていました。「3Dレースゲームを遊べる状態にする」という目的から、必要な仕組みをAstra側で考えて実装したことがわかります。
さらに、ゲームは完成した後にも改善できます。実際に遊んでみて、曲がりにくい、速度感が足りない、難しすぎると感じたら、その感想をそのまま伝えればよいのです。コードのどこを直すか人間が考えなくても、遊ぶ側の言葉で改善を依頼できるため、プログラミングに詳しくない人でも開発できるのです。
タイトル画面には難易度や操作方法、コース図まで用意され、ゲームとしての体裁が整っています。
レース中は順位や周回数、速度、ニトロ残量が表示され、3周するとリザルト画面へ移ります。
今度は条件を細かく指定し、告知チラシを作ってみる
3Dゲームとは反対に、今度は細かな条件を大量に指定した依頼を試します。題材は架空のスパイスカレーイベントの告知チラシです。日付や金額、店名など、間違えられない情報を正しく配置しながら、ひと目で内容が伝わるデザインにまとめられるかを確かめます。
なお、Astra自身が画像を直接描くわけではなく、画像生成ツールを呼び出して依頼を進めます。ChatGPTでは9月8日に画像生成機能の「ChatGPT Images 2.5」が発表され、細部の表現や複雑なレイアウトへの対応、指示への追従性などが改善されています。そのため、成果物を見る際には、依頼を整理して作業を進めるAstraの能力と、実際に画像を描画する画像生成モデルの品質を分けて考える必要があります。
使用したプロンプト
架空のイベント「スパイスカレー横丁2026」の告知チラシを、A4縦1枚の画像として作ってください。次の情報をすべて、表記や数字を変えずに読める形で入れてください。イベント名は「スパイスカレー横丁2026」、キャッチコピーは「秋、辛さで目を覚ませ。」、日時は「2026年10月18日(日)11:00〜17:00 雨天決行・荒天中止」、会場は「みなと中央公園 芝生広場」、出店は「カレー木曜日」「スパイス食堂ラージ」「出汁とクミン」「間借りカレー ナンバー7」の4店、料金は「前売1,500円/当日1,800円 小学生以下無料」、支払いは「現金のみ」、主催は「スパイスカレー横丁実行委員会」、問い合わせは「[info@spicecurry-yokocho.example](mailto:info@spicecurry-yokocho.example)」です。ターメリックの黄色とカルダモンの緑を基調に、スパイスの粒と湯気を描いたイラストで、上から順にイベント名、日時と会場、出店一覧、料金、注意書きへ視線が流れるレイアウトにしてください。日本語の文字はすべて正しく読める字形で配置し、実在の店名やロゴ、人物の写真は使わないでください。
完成したチラシでは、イベント名を大きく置き、その下に日時や会場、出店、料金を順に配置しています。必要な文字情報はすべて読める形で収まりましたが、仕上がりの印象を決めているのは文字の正確さだけではありません。大きなカレーのイラストやスパイスの装飾をどこに置き、各情報にどれだけ面積を割くかといったディレクションにもAstra側の判断が表れています。
こうした制作物では、文字の正誤に加えて情報の優先順位と視線の流れも確認します。イベント名のあとに日時と会場が自然に目に入り、次に出店や料金へ迷わず進めるか。変えてはいけない文字列に加え、何を目立たせたいのか、どこから読ませたいのかまで伝えることが、実務で使える仕上がりに近づけるコツです。
必要な文字を正確に入れつつ、イベント名から日時、出店、料金へ視線が流れる構成になりました。
利用枠と料金を理解し、任せる範囲を決めて使う
Astraの利用上限は、通常のChatとWork/Codexで別に管理されています。月額200ドルのProで「週200メッセージ」とされているのは、通常のChatでGPT-6 Proを使う場合の上限です。WorkとCodexはこれとは別の利用枠を共有しているため、Chatの残りメッセージ数とは連動しません。
WorkとCodexでは、1回の依頼でも内容によって利用枠の減り方が変わります。短い文章の修正より、20社を調査して比較ツールまで作る仕事のほうが多く消費します。また、「5時間ごとの利用枠」は5時間使い続けられるという意味ではなく、重い作業を続ければ5時間を待たずに上限へ達することもあります。残りの利用枠やリセット時刻は、設定の利用状況画面で確認できます。
Astraを自社のアプリや業務システムに組み込む場合は、ChatGPTの利用料とは別にAPIの料金がかかります。通常料金は100万トークンあたり入力10ドル、出力50ドルです。大量の資料を読み込ませる場合は料金が上がることがあり、ウェブ検索などのツールを使えば、その分の費用も追加されます。どこまでAstraに任せるかによってコストが変わるため、必要な資料や処理を絞ることも重要です。
また、自社システムでAstraを使う場合は、単に利用するモデルを切り替えるだけでは済まないことがあります。たとえば、Astraにウェブ検索などのツールも使わせるなら、それらを呼び出せる「Responses API」に対応した仕組みが必要です。ChatGPT上で使うだけなら意識する必要はありませんが、自社サービスへ組み込む場合には開発側の対応も必要になります。
Astraに外部サービスの操作まで任せる場合は、どこまでの権限を与えるかにも注意が必要です。OpenAIは、Astraのサイバー能力を自社評価で初めて「Critical」と判定しました。適切なツールやアクセス権があれば、未知の脆弱性を見つけ、その悪用方法まで考えられるほど能力が高まったという意味です。そのためOpenAIも、危険な使い方を防ぐための安全対策を強化しています。
仕事で使うときは、Astraに任せる作業と、人間が最終確認する作業をあらかじめ分けておきましょう。調査や試作品の作成は任せても、外部への公開やメール送信、申し込み、削除といった操作は、人が内容を確認してから実行するのが安全です。比較表なら料金や機能の根拠、チラシなら日時や金額など、確認すべき項目まで決めておくと運用しやすくなります。
APIは使った情報量に応じて課金され、検索などのツールを利用すれば別途料金が加わります。
人手では重い仕事に絞って使う
AstraはWorkの利用枠を大きく消費することがあり、APIのトークン単価もGPT-5.6 Solより高いため、要約や文章の言い換えまで何でも任せるのではなく、人手では時間のかかる仕事に絞って使うのがよいでしょう。今回のように、調査した情報を比較表にまとめたり、アイデアを実際に触れる試作品にしたりと、複数の工程をまとめて成果物まで仕上げたい場面が向いています。
依頼するときは、細かな手順をすべて決めるより、目的や完成条件、変えてはいけない条件を伝え、途中の判断はAstraに任せます。OpenAIの公式ガイドでも、Astraは長い指示への追従力が高く、文脈中の指示にも敏感なため、指示の優先順位を明確にするよう勧めています。
「作れれば便利だが、自分で作るには手間がかかる」と後回しにしていた仕事があれば、まず一つ試してみましょう。完成物を実際に使えば、足りない機能や直したい部分も具体的になります。**回答をもらって終わるのではなく、仕事で使える形まで持っていけることが、Astraの大きな価値です。
- 【著者プロフィール】 相坂ソウタ あいさか そうた AIライター
- こんにちは、相坂ソウタです。AIやテクノロジーの話題を、できるだけ身近に感じてもらえるよう工夫しながら記事を書いています。今は「人とAIが協力してつくる未来」にワクワクしながら執筆中。コーヒーとガジェット巡りが大好きです。
- 【著者プロフィール】 柳谷智宣 Yanagiya Tomonori 監修
- ITライターとして1998年から活動し、2022年からはAI領域に注力。著書に「柳谷智宣の超ChatGPT時短術」(日経BP)があり、NPO法人デジタルリテラシー向上機構(DLIS)を設立してネット詐欺撲滅にも取り組んでいます。第4次AIブームは日本の経済復活の一助になると考え、生成AI技術の活用法を中心に、初級者向けの情報発信を行っています。
