📌 この記事の要約
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既存オープンモデルを日本仕様に事後学習
Sakana AIがDeepSeek-V3.1-Terminus、Llama-3.1-405B、gpt-oss-120Bを日本向けに事後学習した試作モデル「Namazu」を発表しました。 -
基礎能力はベースモデルと同水準を維持
数学・知識・推論・コーディングなど主要ベンチマークで、Namazuはベースモデルとほぼ同等の性能を維持しています。 -
中立性・事実正確性が大幅改善
政治・歴史などデリケートな話題で、DeepSeek版の回答拒否率は72%からほぼ0%まで改善しました。 -
Web検索統合の「Sakana Chat」で提供
Namazu搭載のチャットサービスは最新情報を統合した回答が可能で、日本語ベンチマークでもベースモデルや他社モデルと同等程度の性能を達成しています。
2026年3月、Sakana AI株式会社は既存のオープンウェイト基盤モデルを日本仕様に適応させる事後学習技術と、その技術実証モデル「Namazu」(α版)を発表しました。本記事では、Namazuの仕組みとベンチマーク結果、そして搭載サービス「Sakana Chat」の特徴について解説します。
Namazuとは?Sakana AIが開発した事後学習モデル
Namazuは、既存の高性能なオープンウェイト基盤モデルに対して、Sakana AIが独自の事後学習(post-training、モデルの事前学習後に追加のデータで振る舞いを調整する工程)を施した試作モデルシリーズです。フロンティア性能を維持しながら、日本での利用に適した振る舞いへと調整されている点が特徴です。
開発の背景:オープンモデルと日本仕様化の課題
LLM(大規模言語モデル)の事前学習にかかるコストは拡大を続けており、最先端モデルの開発を担えるのは米国・中国を中心とした一部のプレイヤーに集約されつつあります。一方で、それら高性能モデルのオープンウェイト化は同時に進んでいます。海外製モデルには、開発元の地域のイデオロギーや情報統制の傾向が反映されることが避けられないため、Sakana AIはこうしたバイアスを是正し、日本国内での利用に適した振る舞いを実現する事後学習手法を開発しました。
Namazuシリーズのラインナップ
技術実証の第一弾として、以下の3モデルが開発されています。
- Namazu-DeepSeek-V3.1-Terminus
- Llama-3.1-Namazu-405B(ベースモデルのライセンス規約により名称の順序を変更)
- Namazu-gpt-oss-120B
本技術は特定のベースモデルに依存しない設計となっており、今後も優れたオープンモデルを柔軟に活用できる点が強みです。
ベンチマークで見るNamazuの性能改善
Namazuは「基礎能力」「中立性および事実正確性」「日本語能力」の3つの観点でベンチマーク評価が行われています。
基礎能力:ベースモデルと遜色ない性能を維持
数学の難問を解く力、幅広い分野の知識、大学院レベルの科学的推論力、プログラミング能力、指示への忠実さといった、AIの基礎体力を測る複数の主要ベンチマークを用いて検証した結果、Namazuはいずれの項目でもベースモデルとほぼ同等の性能を維持しています。事後学習による振る舞いの調整が、モデル本来の能力を損なっていないことを示す結果です。
中立性・事実正確性の改善
日本と他国に関連する政治・歴史・外交テーマについて、客観的な多角的情報提示(中立性)と事実の網羅性(正確性)を独自ベンチマークで評価したところ、3モデルすべてでベースモデルからの明確な改善が確認されました。特にNamazu-DeepSeek-V3.1-Terminusでは、ベースモデルが関連質問の72%で回答を拒否していたのに対し、Namazuではこの回答拒否がほぼ0%まで改善しています。
日本語ベンチマークの結果
最も高性能なNamazu-DeepSeek-V3.1-Terminusについて、Nejumi Leaderboard4、Swallow LLM LeaderBoard v2、JamC-QAといった日本語の主要ベンチマークで評価した結果、ベースモデルや同規模の他社モデルと同等程度の性能を達成しています。各ベンチマークの詳細スコアや事後学習手法の詳細は、今後公開予定のテクニカルレポートで示される予定です。
Namazuを搭載した「Sakana Chat」でできること
Namazuシリーズを搭載したチャットサービス「Sakana Chat」は、Web検索機能を統合しており、最新情報を収集・統合して回答できる点が特徴です。公開前には約1,000名を対象としたβテストが行われ、寄せられたフィードバックがモデルの改善に活かされています。
一般的な海外製の生成AIチャットサービスは、開発元の地域性に由来するイデオロギーや情報統制の影響を基盤モデルの段階から内包しやすく、政治的にデリケートな話題では回答を拒否したり曖昧にしたりする傾向が指摘されています。Sakana Chatは、この点に日本向けの事後学習で正面から対応している点が独自の価値だといえるでしょう。実際に、政府によるインターネット検閲制度についての質問に対しても、客観的な事実に即した多角的な回答を返す事例が紹介されています。また、Web検索を使わない場合でも、指定された条件(文字数など)を踏まえた論述ができることも示されています。
こうした「日本の文脈に即した中立性」と「検索統合による最新情報への対応」の両立は、単に汎用性の高さを競う既存の海外製AIサービスとは異なる方向性の差別化ポイントであり、日本国内での利用シーンにおいて実務上のメリットになり得ると考えられます。
よくある質問(FAQ)
Q. Namazuは無料で使えますか? Namazuは現時点でα版として位置づけられており、料金体系についての詳細情報は参照元の記事では明示されていません。最新情報はSakana Chatの公式サイトでご確認ください。
Q. NamazuとDeepSeekやLlamaはどう違いますか? Namazuは、DeepSeek-V3.1-TerminusやLlama-3.1-405Bなど既存のオープンウェイト基盤モデルに対して、Sakana AI独自の事後学習を施したモデルです。ベースモデルの基礎性能を維持しつつ、日本での利用に適した中立性・振る舞いへと調整されている点が異なります。
Q. Sakana Chatではどんなことができますか? Web検索機能を統合しており、最新のニュースや情報を収集・統合した回答が得られます。政治・歴史などデリケートな話題についても、多角的な事実に基づく回答を返す設計になっています。
まとめ
Namazuは、既存のオープンウェイト基盤モデルに日本仕様の事後学習を施すことで、フロンティア性能を維持しながら中立性や事実正確性を改善した試作モデルシリーズです。搭載サービスであるSakana Chatは、Web検索機能との統合により、日本のユーザーにとって実用的な選択肢となる可能性を示しています。今後公開予定のテクニカルレポートやモデルウェイトの動向にも注目しつつ、まずは実際にSakana Chatを試してみてはいかがでしょうか。
参照ソース一覧
- Sakana AI公式サイト「最大規模のオープン基盤モデルを各国仕様へ適応させる事後学習技術を開発」 https://sakana.ai/namazu-alpha/
