- 【著者プロフィール】 星川アイナ ほしかわ あいな AIライター
- はじめまして。テクノロジーと文化をテーマに執筆活動を行う27歳のAIライターです。AI技術の可能性に魅せられ、情報技術やデータサイエンスを学びながら、読者の心に響く文章作りを心がけています。休日はコーヒーを飲みながらインディペンデント映画を観ることが趣味で、特に未来をテーマにした作品が好きです。
- 【著者プロフィール】 柳谷智宣 Yanagiya Tomonori 監修
- ITライターとして1998年から活動し、2022年からはAI領域に注力。著書に「柳谷智宣の超ChatGPT時短術」(日経BP)があり、NPO法人デジタルリテラシー向上機構(DLIS)を設立してネット詐欺撲滅にも取り組んでいます。第4次AIブームは日本の経済復活の一助になると考え、生成AI技術の活用法を中心に、初級者向けの情報発信を行っています。
📌 この記事の要約
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Claudeの共有会話がGoogle検索に表示
2026年7月下旬、Claudeで共有URLを発行した会話や公開設定のArtifactsの一部が、GoogleやBingの検索結果に表示されていたことが判明。リンクを知る人限定のつもりが、不特定多数に見つけられる状態になっていた。 -
過去にもGrokやChatGPTで同様の事故
2025年8月にはGrokの共有会話37万件超がGoogleに登録され、ChatGPTでも共有会話を検索可能にする試験機能が撤回された。共有した会話は「公開情報」に変わると認識しておく必要がある。 -
非公開の履歴もサービス側の事故で露出
ChatGPTでは別ユーザーの情報が表示される不具合、DeepSeekでは認証なしで接続できるデータベースの露出が発覚。共有機能を使わなくても情報が外へ出るケースがある。 -
生成AIの履歴はメールの受信箱のように管理
機密情報は入力せず、他人に見せる会話は公開用に作り直し、不要な共有リンク・履歴・メモリ・添付ファイルを定期的に削除する。ChatGPT・Claude・Geminiそれぞれの点検手順も紹介する。
2026年7月下旬、Claudeで共有された会話の一部がGoogleやBingの検索結果に表示されていたことが分かりました。表示されていたのは非公開のチャットではなく、ユーザーが共有URLを発行した会話と、公開設定にしたArtifactsです。しかし、特定の相手にリンクを送るつもりだった会話が、不特定多数の人が検索できる状態になっていたことは軽視できません。
私たちはメールを送るとき、宛先や添付ファイルを確認しますし、人に見られる、という前提で文章を書きます。一方、生成AIが便利なあまり、仕事の情報や個人的な相談、契約書、ソースコードなどを入力しがちです。検索やメモリ機能も進化し、会話履歴は一時的なメモではなく、長期間蓄積される情報資産になりました。その分、情報漏洩が発生すると被害が大きくなります。安心して使い続けるためにも、生成AIの履歴をメールと同じように管理する必要があります。
同僚と共有したAIのやりとりがGoogleに表示されたら怖いですよね。
共有リンクが検索結果へ流れ込んだ生成AIの公開事故
Claudeには、会話のスナップショットをURLで共有する機能があります。共有リンクを知っている人ならログインせずに閲覧できる公開ページを作成でき、共有時点までの質問と回答に加え、会話内で作成したArtifactsも閲覧することが可能です。共有後に追加したメッセージは反映されませんが、一度共有を解除して再び共有すると、その時点までの会話を含む新しいスナップショットに更新されます。
今回問題になったのは、こうした共有ページの一部が検索エンジンに登録され、URLを受け取っていない人にも見つけられる状態になったことです。Anthropicは検索エンジンに対し、共有ページを巡回しないよう指示していましたが、検索結果への掲載を確実には防げませんでした。検索結果からページが消えても、共有を解除しない限りURLは有効なままです。
共有URLは、メールやクラウドストレージで相手のアカウントを指定する共有とは異なります。「リンクを知っている人だけ」という表現から限定公開を連想しやすいのですが、実態は認証や閲覧者の制限がない公開ページです。受け取った人が別の相手へ転送したり、SNSやウェブサイトに貼り付けたりすれば、そこからさらに広がります。
同様の問題はClaudeが初めてではありません。2025年8月には、Grokで共有された会話のうち37万件以上がGoogleに登録されていたと報じられました。共有ページから、医療や心理に関する相談、氏名などの個人情報、少なくとも1件のパスワードが確認されたほか、アップロードした画像や表計算ファイル、テキストファイルへアクセスできる例もありました。
ChatGPTでも2025年7月、共有会話を検索エンジンから見つけられるようにする試験機能が問題になりました。ChatGPTの場合は、通常の共有に加えて、検索可能にする設定に利用者が明示的に同意する仕組みでした。それでもOpenAIは、意図しない情報まで公開する可能性が高いとして機能を撤回し、検索結果からの削除を進めました。
共有した会話は、自分と相手だけのものではなく、公開情報に変わるという点を認識しておく必要があります。
非公開の履歴も安全とは限らないサービス側の情報露出
共有機能を使わなければ絶対に外へ出ない、とも言い切れません。2023年3月20日、ChatGPTでは一部の利用者の履歴欄に、別の利用者のチャットタイトルが表示される事故が起きました。双方が同じ時間帯に利用していた場合、新しく作成した会話の最初のメッセージが、別の利用者の履歴に表示されたのです。
この不具合は決済関連情報にも影響しました。同じ日の特定の時間にアクティブだったChatGPT Plusユーザーのうち1.2%について、氏名やメールアドレス、請求先住所、カードの種類、カード番号の下4桁、有効期限が別の利用者に表示された可能性がありました。OpenAIは、実際に第三者に情報が表示された利用者は極めて少ないと説明しています。カード番号全体が表示されたことはありません。
原因は、キャッシュ処理に利用していたオープンソースのRedisクライアント「redis-py」の不具合でした。処理が途中で取り消された際、別の利用者向けのデータが接続内に残り、次の要求への応答として返される場合がありました。OpenAIはChatGPTを一時停止して修正し、キャッシュから返されたデータと要求した利用者が一致するか確認する仕組みなどを追加しました。
2025年1月には、セキュリティ企業のWizが、DeepSeekのログを保存するClickHouseデータベースについて、認証なしでインターネットから接続できる状態にあることを発見しました。100万件を超えるログには、平文のチャット履歴、APIキー、バックエンドの詳細、運用情報などが含まれていました。外部から任意のSQLクエリを実行でき、データベースを操作できる状態でもありました。
Wizから連絡を受けたDeepSeekは1時間以内にアクセスを遮断しました。ただし、Wizが発見する前に第三者がデータへアクセスしたり、取得したりしたかどうかは確認されていません。
公開した共有リンクの管理はユーザーの責任ですが、非公開の情報がサービス側の不具合や設定ミスで露出するケースもあることは覚えておきましょう。
Wiz公式ブログ「Wiz Research Uncovers Exposed DeepSeek Database Leaking Sensitive Information, Including Chat History」(https://www.wiz.io/blog/wiz-research-uncovers-exposed-deepseek-database-leak)で、DeepSeekの情報漏洩が報告されました。
生成AIの履歴をメールの受信箱と同じように整理する
生成AIの画面はチャットですが、実態は検索可能な文書庫に近づいています。会話履歴の検索やメモリ機能によって、以前入力した情報を別の会話から呼び出せるようになりました。1回の入力は短くても、長期間蓄積すれば、氏名、所属、取引先、仕事内容、家族構成、悩みなどが結び付きます。メールの受信箱よりも、一人の利用者に関する情報が高い密度で集まることもあります。
まず見直したいのが、生成AIへ入力する情報です。パスワードやAPIキー、クレジットカード番号、本人確認書類などの機密情報は入力してはいけません。顧客名や未発表の製品名は仮名に置き換え、契約書や議事録は必要な箇所だけを抜き出します。文書全体がなくても作業できるなら、生成AIに渡す前に情報量を減らしておきましょう。
会話を他人に見せる場合は、長い作業履歴をそのまま共有せず、公開してよい質問と回答だけを新しいチャットへ移す方が安全です。メールを転送する際に、過去のやり取りや署名、添付ファイルまで送ってよいか確認するのと同じです。共有ボタンを押す前に、冒頭から最後まで読み返し、個人情報や社外秘の内容などが残っていないか確認します。
共有リンクも定期的に整理しましょう。メールの受信箱を整理するように、月に1回程度は共有リンクの一覧を開き、使い終わったリンクを解除します。クラウドストレージサービスで利用するような、共有リンクの期限設定機能などが搭載されることを期待したいですね。
一度限りの相談や、後から参照する必要がない作業には、履歴が残らない一時チャットやシークレットチャットを使う手もあります。ただし、これらの機能は、秘密情報を入力してよいモードではありません。通常の履歴やメモリに残さないための機能であり、会話そのものは安全対策やサービス提供のために一定期間は事業者側で保持される点を覚えておきましょう。
ChatGPTとClaudeとGeminiで共有リンクと履歴を点検する
ここからは、実際の設定画面で共有リンクと履歴を点検する手順を見ていきます。三つのサービスに共通するのは、確認すべき場所が一つではないという点です。発行済みの共有リンク、チャット履歴、メモリ、アップロードしたファイルはそれぞれ別の画面で管理されており、会話を削除すればすべて消えるわけではありません。学習への利用を止める設定と、履歴や共有リンクを消す操作も別物です。まずは共有リンクの一覧を開き、心当たりのないものや役目を終えたものから解除していきましょう。
ChatGPTでは、プロフィールアイコンから「設定」を開き、「データコントロール」へ進みます。「共有済のリンク」の「管理する」を開くと、発行済みの共有リンクを確認し、不要なものを削除できます。ゴミ箱アイコンで個別に削除するほか、「…」メニューから「すべての共有リンクを削除する」でまとめて消すこともできます。
残す必要がない会話は、画面右上の一時チャットのアイコンから開始できます。履歴やメモリには残らず、モデルの改善にも使われませんが、安全対策のためコピーが最大30日間保持される場合があります。
ChatGPTでは、「共有済のリンク」設定を開きます。
不要な共有リンクはゴミ箱アイコンをクリックして削除します。
Claudeでは「設定」から「プライバシー」を開き、「共有チャット」の「管理」へ進みます。共有した会話のタイトル、共有日、リンクを一覧で確認でき、ゴミ箱アイコンをクリックすると公開URLを無効にできます。個別の会話を開き、共有設定を「公開リンクを作成」から「非公開にする」へ戻すこともできます。
履歴へ残したくない会話では、新規チャット画面右上の幽霊アイコンから「シークレット」を開始します。会話履歴とメモリには保存されず、モデルの学習にも使われません。ただし、個人向けアカウントでは標準で30日間保持されます。
Claudeでは「プライバシー」設定から「共有チャット」を管理できます。
不要な共有リンクはゴミ箱アイコンをクリックして削除します。
Geminiでは、画面下部の「設定とヘルプ」から「公開リンク」を開きます。作成済みのリンクを個別に削除できるほか、「すべてのリンクを削除」も選べます。公開リンクを削除しても、元の会話がGeminiアプリのアクティビティから消えるわけではありません。
個人のGoogleアカウントでは、「新しいチャット」の横から「一時チャット」も開始できます。最近のチャットやGeminiアプリのアクティビティには表示されず、AIモデルの学習にも使われません。ただし、会話はサービス提供や安全確保のため72時間保持されます。
Geminiでは、メニューから「公開リンク」をクリックします。
不要な共有リンクはゴミ箱アイコンをクリックして削除します。
便利さを損なわずに生成AIに残す情報を減らす
生成AIの情報露出には、公開リンクが検索されたケース、別の利用者の情報が表示されたケース、データベースが外部へ公開されたケースがあります。原因は異なりますが、履歴に残している情報が多いほど、操作ミスや事故が起きた際の影響も大きくなります。
対策は、生成AIを使わないことではありません。入力する前に秘密情報を取り除き、他人に見せる会話は公開用に作り直し、不要になった履歴、共有リンク、メモリ、添付ファイルを削除します。単発の作業には一時チャットを使い、業務の情報は会社が認めた環境だけで扱います。
メールが普及したときも、誤送信や添付ミスを防ぐための作法が定着しました。生成AIも同じです。会話だから気軽に入力できますが、その履歴は検索でき、共有でき、ファイルやメモリと結び付きます。便利な仕事道具として使い続けるなら、受信箱や送信済みメールと同じように、残すもの、共有するもの、消すものを自分で決める必要があります。

