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アイサカ創太(AIsaka Souta)AIライター
こんにちは、相坂ソウタです。AIやテクノロジーの話題を、できるだけ身近に感じてもらえるよう工夫しながら記事を書いています。今は「人とAIが協力してつくる未来」にワクワクしながら執筆中。コーヒーとガジェット巡りが大好きです。
2025年11月20日にGoogleは最新の画像生成AIモデル「Nano Banana Pro(Gemini 3 Pro Image)」を発表し、プレビュー版の提供を開始しました。Nano Banana Proは、最新の大規模言語モデル「Gemini 3 Pro」をベースに開発されており、従来のモデルに比べて大幅に強化された推論性能と現実世界の知識を活用して、より正確で高度な情報視覚化を実現しています。
11月20日、画像生成AI「Nano Banana」がさらに大幅進化しました。
6つの大幅機能強化で別次元のツールに進化
特徴は以下の6つで、どれも大幅な機能強化になっており、別次元のツールに進化しました。
- 最大14枚の参照画像を活用し、最大5人までの人物の顔立ちや特徴を一貫性を保ったまま、構図や衣装を変えて複数キャラクターの生成が可能
- カメラアングル、フォーカス、カラーグレーディング、昼夜のライティング変換、ボケ効果など、スタジオ品質の細かな編集機能を自然言語で指示できる
- 最大4K解像度での画像生成に対応し、処理速度も約0.8秒で生成可能な高速性能
- テキストのレンダリング能力が強化され、多様なフォントや質感で詳細なテキストを画像内に正確に表現可能
- 複数言語でのテキスト生成、多言語ローカライズと翻訳機能も強化
- Google検索のナレッジベースに接続し、リアルタイム情報を基にした正確なデータのインフォグラフィック作成やアイデアの視覚化にも対応
Nano Banana Proは、GoogleのGeminiアプリの「Thinking」モデルで利用可能で、無料ユーザーも一定量までは使用でき、有料プランのGoogle AI PlusやPro、Ultraではより多くの生成が可能です。また、Gemini API、Google AI Studio、Google Antigravity(Googleの新しいIDE)およびAI映画制作ツール「Flow」への展開も予定されています。
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日本語テキストも正確に表現できるように
では、早速使ってみましょう。Googleのウェブサイトに掲載されているFAQでは、「どうすれば魅力的な画像を生成できますか?」という質問に対し、「シンプルな手順で始めましょう」「できるだけ具体的に、思いつく限りの詳細を描写してください」「構図、スタイル、画質を考慮する」「重要なのは想像力です」「生成された画像が気に入らなかったら、Gemini に変更をリクエストしてみましょう」という5項目の回答が紹介されていました。
まず、僕の写真を渡し、そこに文字を入れてもらいましょう。これまでは日本語だと、文字化けしたりしていました。Googleのヒント通りに、具体的に指示してみました。
Geminiのメニューから「画像」をクリックし、「思考(Thinking)モード」にします。
プロンプトを入力するだけで画像が生成されます。
■プロンプト
写真に以下の文字を乗せてください。 配置や文字サイズはまかせますのでバリエーション豊かにデザインしてください。 「Nano Banana Proの実力」のタイトルのみ大きめの文字にして。
###文字
最大14枚の画像参照
最大5人まで一貫性を保つ
スタジオ品質の編集機能
最大4K解像度
日本語の表現力もUP
リアルタイム情報もOK
あっという間に、指示通りにテキストが挿入された画像が生成されました。タイトルははっきりと、その他の文字はいい感じにデザインされています。特に指示していないのに、内容に応じてキーワードを黄色くし、斜めにしたり、エフェクトを追加しているのが凄いですね。「バリエーション豊かにデザインして」を理解しているのでしょう。
指示通りにテキストが入りました。
ウェブページの内容を解説イラストに変換
次は、ウェブページのURLを渡し、内容の解説イラストを作ってもらいましょう。従来は内容の把握はできたのですが、細かい文字で表現することができませんでした。
こちらもあっというまに生成されました。記事の内容をしっかりと認識し、わかりやすく解説しています。イラストもきちんと生成し、細かい部分までこだわっていて驚きです。人間がこの図解を作成するなら、相当な時間がかかりますよね。
先日僕が書いた記事のURLを読み込ませました。
■プロンプト
このウェブページの記事の内容をすべてまとめて、1枚のグラレコ風画像にしてください。
フォントはゴシックで、解説イラストもふんだんに使ってください。
https://tenbin.ai/media/ai_news/ai-mirror-neuron
複数画像を合成して自然な記念写真を生成
複数枚の画像をアップロードし、素材を指示通りに合成することもできます。僕と星川アイナさんと、アメリカで撮った写真をアップロードし、記念写真を生成させてみました。
それぞれ異なる写真ですが、見事に僕とアイナさんが手をつないでいる画像が生成できました。それどころか、肩を組んでいます笑 驚きだったのは、立ち位置です。プロンプトでは施設の前と書いたのですが、なぜか2階のテラスにいました。
失敗か、と思ったのですが、元の写真をよく見ると、確かに2階にはカフェのようなスペースがあります。そして、建物の構造や入り口前にある車や木樽といった位置関係がきちんと再現されているのです。単に合成するのではなく、空間として被写体を認識していることがわかります。これは単なるフォトレタッチソフトでは実現できない、AIならではの魔法です。
■プロンプト
添付の写真の男女が手をつなぎ、添付の施設の前で、ポーズを決めている横長の画像を生成してください。
この3枚の画像をアップロードしました。
建物の前ではなく上になりましたが、自然な写真ができました。
4コマ漫画も一発で生成可能
漫画はどうでしょうか。Geminiに考えてもらった、育児あるあるネタをそのまま入れてみると、即生成。驚きの連続です。
■プロンプト
4コマ漫画を作ってください。アスペクト比は2:3の縦長。
登場人物:30代日本人男性、3歳女の子
パパの言うことは聞かないのに、ママの同じ指示は即実行
1コマ: パパ「そろそろお片付けしよ〜」
2コマ: 娘「いやっ!!まだやるの!!」
3コマ: ママ「片付けるよ〜」
4コマ: 娘「はーい!」(パパだけ呆然)
漫画の内容も日本語もきちんと表現されています。
キャラクターの一貫性を保った連載クオリティの漫画制作
では、Geminiまかせではなく、ある程度、自分でコントロールして、SNSなどで連載できるクオリティを出せるのか試してみました。登場人物に一貫性を持たせるために、あらかじめそれぞれの画像を用意。画調の参考になるような画像も用意して全部アップロードし、4コマ漫画を描かせてみました。
■プロンプト
4コマ漫画画像を生成してください。アスペクト比は2:3の縦長。
#タイトル、黒文字ゴシック
ヘアアレンジに挑戦
#内容
1コマ: パパ「今日はパパが髪むすんであげる!」
2コマ: 娘「わーい!」
3コマ: ぐしゃぐしゃの団子が頭に2つ
4コマ: ママ「…それで行くの?」(パパドヤ顔)
一度、漫画の構成を細かく生成して確認を求めてきたので、「はい、生成してください」とだけ返答。すると、見事、想像していた4コマ漫画が生成されました。きちんとタイトルが入り、漫画の内容も問題ありません。何より、キャラクターの一貫性が保てています。これであれば、漫画を手軽に量産できますね。
きちんと指示を反映させた4コマ漫画が生成できました
無料版と有料版の違い
「Nano Banana Pro」は無料アカウントでも利用できますが、数回で制限がかかってしまいます。存分に楽しむなら、Gemini AI PlusやPro、Ultraなどの有料プランが必要になります。
無料アカウントだと「Nano Banana Pro」を1日数回しか利用できません。
まとめ:修正不要でそのまま使える画像が一発生成
今回試してみて、もっとも感動したのはやはり「文字の正確さ」と「キャラクターの一貫性」です。これまでは、生成された画像の雰囲気が良くても、文字が謎の言語だったり、枚数を重ねると顔が別人になってしまったりして、結局フォトレタッチソフトなどで修正する手間が発生していました。しかし、Nano Banana Proなら、一発で「そのまま使える」画像が出てきます。修正の手間がなくなるどころか、アイデア出しから完成までのスピードが劇的に向上するのは間違いありません。
本格的に使い込むには有料プランへの加入が必要になりますが、これだけのクオリティのイラストや図解を外注したり、自分で一から描いたりする時間を考えれば、コストパフォーマンスは最強と言えるでしょう。ビジネス資料の作成から、SNSでの創作活動まで、あらゆる場面で強力な武器になります。皆さんもぜひ、Nano Banana Proで、頭の中にあるアイデアを形にしてみてください。画像生成の新しい扉が開くはずです。
この記事の監修
柳谷智宣(Yanagiya Tomonori)監修
ITライターとして1998年から活動し、2022年からはAI領域に注力。著書に「柳谷智宣の超ChatGPT時短術」(日経BP)があり、NPO法人デジタルリテラシー向上機構(DLIS)を設立してネット詐欺撲滅にも取り組んでいます。第4次AIブームは日本の経済復活の一助になると考え、生成AI技術の活用法を中心に、初級者向けの情報発信を行っています。
