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Claude Codeの公式スキル17個を全解説 — パワポもPDFもExcelも、コマンド1つで生成できる
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筆者 山城 博規 / GMO天秤AI株式会社
GMO天秤AI株式会社 代表取締役社長。GMOあおぞらネット銀行でAI・DX推進、金融インフラエンジニアを経て現職。「特定のAIに依存しない」をコンセプトに、複数AIを同時比較できるプラットフォーム「天秤AI byGMO」を運営。法人版「天秤AI Biz」やAIリスキリング事業も展開中。
Claude Codeにはスキルという拡張機構がある。Anthropicが公式リポジトリで17個のスキルを公開しており、パワーポイントの作成、PDFの加工、Excelの生成、Webデザインの構築まで、コマンド1つで実行できる。GitHub Star数は10万を超えており、開発者コミュニティでの注目度は高い。
ただ、この機能の存在自体を知らない人が多い。Claude Codeを「コードを書くツール」としてしか使っていないなら、かなりもったいない。スキルを導入すると、Claude Codeがドキュメント制作ツール、デザインツール、テスト自動化ツールに変わる。
この記事では、公式スキル17個の全容と導入手順を整理する。
スキルとは何か
スキルは、Claude Codeの能力を拡張する仕組みだ。SKILL.mdというMarkdownファイルに指示を書くと、Claudeがその指示を自分のツールキットに追加する。必要な場面で自動的に読み込まれるし、/skill-nameの形で直接呼び出すこともできる。
従来の.claude/commands/に置くカスタムコマンドの上位互換にあたる。スキルにはディレクトリ構造があり、テンプレートやスクリプトなどの補助ファイルを同梱できる。YAMLフロントマターで起動条件やツール制限も細かく指定できる。
技術的には、スキルはAgent Skillsというオープン標準に準拠している。Claude Code固有の機能ではなく、複数のAIツール間で共通利用できる規格だ。Claude Codeはこの標準にサブエージェント実行や動的コンテキスト注入などの独自拡張を加えている。

Claude Code公式ドキュメント — Extend Claude with skills
公式スキル17個の全容
Anthropicはanthropics/skillsリポジトリで17個のスキルを公開している。Star数は10万超、Fork数は1.2万。

anthropics/skillsリポジトリ
17個のスキルが4つのカテゴリに分類できる。

スキル一覧
ドキュメント系(4個)
pptx — PowerPointの作成と編集。テンプレートからのスライド生成、箇条書きの自動ビジュアル化、既存ファイルのレイアウト維持編集に対応する。HTMLからPPTXへの変換バリデーションも含む。
pdf — PDFの読み取り、結合、分割、フォーム入力、ページ回転、透かし追加、暗号化・復号に対応する。複数PDFの一括マージも可能だ。
xlsx — Excelスプレッドシートの作成・編集。関数の記述、書式設定、条件付きロジック、財務モデルの構築まで幅広く対応する。
docx — Word文書の作成・編集。表や書式付きの業務文書を生成できる。
クリエイティブ系(4個)
frontend-design — 本格的なWebフロントエンドを生成するスキル。ブルータリズム、グラスモーフィズム、レトロフューチャーなど11種のデザインテイストに対応する。「AIっぽい汎用デザイン」ではなく、意図的な美的方向性を持ったUIを生成する点が特徴だ。
canvas-design — ポスターやビジュアルアートをPNG/PDFで出力する。独自のデザイン哲学(例: Brutalist Joy、Chromatic Silence)を定義し、それに基づいて作品を生成する。美術館品質を目指す設計思想が面白い。
algorithmic-art — p5.jsを使ったジェネラティブアートの生成。シード付きランダムネスとインタラクティブなパラメータ調整に対応する。
slack-gif-creator — Slack用のアニメーションGIFを制約内(サイズ・フレーム数)で生成する。
開発系(4個)
claude-api — Claude APIのリファレンスをロードするスキル。Python、TypeScript、Java、Go、Ruby、C#、PHP、cURLに対応する。コード内でimport anthropicを書くと自動で起動する。
mcp-builder — MCPサーバーの構築ガイド。外部APIやサービスとの連携に必要なMCPサーバーを、PythonまたはTypeScriptで作成するための設計パターンとベストプラクティスを提供する。
webapp-testing — Playwrightを使ったWebアプリのテスト自動化。ブラウザ操作、スクリーンショット取得、コンソールログの確認に対応する。
skill-creator — カスタムスキルの作成・テスト・改善を支援するメタスキル。テストケースの自動生成、トリガー精度の最適化まで含む。
ビジネス系(5個)
web-artifacts-builder — React、Tailwind CSS、shadcn/uiを使った複雑なWebアーティファクトの構築。
brand-guidelines — Anthropicのブランドカラー・タイポグラフィを成果物に適用する(自社ブランド向けにカスタマイズ可能)。
internal-comms — ステータスレポート、リーダーシップアップデートなど、社内コミュニケーション文書のテンプレートと生成。
doc-coauthoring — ドキュメントの共同執筆ワークフロー。提案書、技術仕様書、意思決定文書の構造化を支援する。
theme-factory — スライドやレポートなどの成果物にテーマを適用するツールキット。10種類のプリセットテーマを用意している。
導入方法
スキルの導入には3つの方法がある。手軽な順に紹介する。
方法1: 公式マーケットプレイスからインストール(推奨)
最も簡単な方法だ。Claude Codeには公式マーケットプレイス(claude-plugins-official)が最初から登録されている。追加の設定なしでインストールできる。

プラグインマーケットプレイスのドキュメント
Claude Code内で/pluginコマンドを実行すると、Discover、Installed、Marketplaces、Errorsの4タブを持つインタラクティブUIが開く。Discoverタブからスキルを検索してインストールするのが基本の流れだ。
CLIから直接インストールする場合は以下のコマンドを使う。
/plugin install pptx@claude-plugins-official
/plugin install frontend-design@claude-plugins-official
インストール後にプラグインを再読み込みする。
/reload-plugins
これでスキルが使えるようになる。/pptxと打てばPowerPoint作成モードに入る。
方法2: 手動でSKILL.mdを配置する
GitHubリポジトリからスキルのディレクトリをダウンロードし、ローカルに配置する方法だ。
個人用(全プロジェクトで使える)の場合:
~/.claude/skills/pptx/SKILL.md
プロジェクト固有の場合:
.claude/skills/pptx/SKILL.md
スキルのディレクトリには、SKILL.mdだけでなくテンプレートやスクリプトも含まれるので、ディレクトリごとコピーする。
方法3: GitHubリポジトリからクローンする
公式マーケットプレイスを経由せず、anthropics/skillsリポジトリを直接クローンしてローカルで参照する方法もある。
git clone https://github.com/anthropics/skills.git
クローンしたディレクトリをマーケットプレイスとして登録すれば、最新の開発版スキルを使える。
/plugin marketplace add ./skills
実際に使ってみる
スキルの使い方は直感的だ。いくつかの典型的なユースケースを紹介する。
PowerPointを作る場合、Claude Codeに「来週の経営会議用のスライドを作ってほしい。売上推移のグラフと、3つの施策提案を含めて」と伝えるだけでよい。pptxスキルが自動で起動し、スライドを生成する。/pptxで明示的に呼び出すこともできる。
PDFの結合なら、「proposalフォルダ内のPDFを全部1つにまとめて」と指示すれば、pdfスキルが処理する。
Excelの作成では、「月次売上データからピボットテーブル付きのExcelを作って」のような指示が通る。
frontend-designスキルは特に面白い。「ブルータリスト風のダッシュボードを作って」のように、デザインテイストを指定できる。生成されるUIは、通常のAI生成物とは一線を画す個性的なものになる。
スキルの自動起動の仕組み
スキルには自動起動という特性がある。SKILL.mdのdescriptionフィールドに書かれたキーワードと会話内容がマッチすると、Claudeが自動的にそのスキルを読み込む。
たとえばpptxスキルは、ユーザーが「プレゼンを作って」「スライドを生成して」と言った時点で自動的に有効になる。明示的な/pptxの入力は不要だ。
この挙動は制御できる。disable-model-invocation: trueをフロントマターに設定すると、手動呼び出し専用になる。デプロイやメール送信のような副作用のあるスキルでは、意図しない自動起動を防ぐために設定しておくのが安全だ。
カスタムスキルの作成
公式スキル以外に、自分でスキルを作ることもできる。/skill-creatorスキルを使えば、作成からテスト、改善までのフローが自動化される。
最小構成は、SKILL.mdファイル1つだ。
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name: my-custom-skill
description: 〇〇の場面で使う
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ここに指示を書く。Claudeはこの内容に従って動く。
フロントマターにはname、description以外にも、allowed-tools(利用可能なツールの制限)、context: fork(サブエージェントでの隔離実行)、model(使用モデルの指定)、effort(推論の深さ指定)などのオプションがある。
実用的なスキルを作るなら、ディレクトリ構造にして補助ファイルを含める。
my-skill/
├── SKILL.md(必須: メインの指示)
├── template.md(テンプレート)
├── examples/(出力例)
└── scripts/(実行スクリプト)
注意点
ドキュメント系スキル(pptx、pdf、xlsx、docx)はsource-availableライセンスで、オープンソースではない。商用利用の際はライセンス条件を確認する必要がある。
スキルのdescriptionは250文字で切り詰められる。自動起動の精度を上げたい場合は、重要なキーワードを先頭に配置する。
スキルが多すぎるとコンテキストウィンドウを圧迫する。全スキルの説明文がセッション開始時に読み込まれるため、不要なスキルは整理した方がよい。環境変数SLASH_COMMAND_TOOL_CHAR_BUDGETで説明文の予算を調整することもできる。
まとめ
Claude Codeのスキルは、AIコーディングツールの枠を超える拡張機構だ。Anthropicが公式に17個のスキルを公開しており、パワーポイント、PDF、Excel、Wordのドキュメント生成から、Webデザイン、アート制作、テスト自動化まで対応する。
導入は/plugin marketplace addとinstallの2コマンドで完了する。既存の業務フローにすぐ組み込めるのが大きな利点だ。
Agent Skillsオープン標準に準拠しているため、Claude Code以外のAIツールでも利用できる可能性がある。スキルのエコシステムは始まったばかりだが、コミュニティマーケットプレイスも含めると選択肢は急速に広がっている。
まずは自分の業務で最も時間を取られている作業に対応するスキルを1つ入れてみるのがよいだろう。
参考リンク
- 公式スキルリポジトリ: github.com/anthropics/skills
- スキルのドキュメント: code.claude.com/docs/en/skills
- プラグインのドキュメント: code.claude.com/docs/en/discover-plugins
- Agent Skills標準: agentskills.io
