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- プロンプトエンジニアリングとは
- プロンプトとは
- プロンプトエンジニアリングの目的や重要性
- プロンプトの4つの構成要素
- 命令・指示(Instruction)
- 背景・文脈(Context)
- 入力データ(Input Data)
- 出力形式の指定(Output Indicator)
- プロンプトの型の例
- Zero-shot prompting
- Few-shot prompting
- Chain-of-Thought(CoT)prompting
- Zero-shot CoT
- Generate Knowledge Prompting
- Self-Consistency
- ReAct
- プロンプト設計のポイント・注意点
- シンプルな指示から開始する
- 明確かつ詳細に指示する
- AIが理解しやすい構成をつくる
- 試行錯誤して精度を高める
- 要素ごとに改善点を検討する
- まとめ
近年、ChatGPTをはじめとするAIの登場により、私たちの生活や仕事のあり方が大きく変わりつつあります。
しかし、AIを効果的に活用するには、適切な指示を与えなければなりません。そこで注目されているのが「プロンプトエンジニアリング」です。
この記事では、プロンプトエンジニアリングの概要や構成要素、プロンプトの型の例、プロンプト設計のポイントなどについて詳しく解説します。
AIをより効果的に活用したい方、ビジネスや日常生活でAIの力を最大限に引き出したい方はぜひ最後まで記事をチェックしてみてください。
プロンプトエンジニアリングとは
プロンプトエンジニアリング(Prompt Engineering)とは、AI(人工知能)からより望ましい回答を引き出すために、AIに対して効果的な指示(プロンプト)を設計・最適化する技術や学問分野のことです。
AI技術は日々進化しており高度な結果が得られるようになってきていますが、生成されるコンテンツの質はプロンプトの出し方によって大きく左右されます。
適切なプロンプトを設計すれば、AIの回答の質を向上させ、特定のタスクや問題解決に対する効率を高めることが可能です。
プロンプトとは
プロンプトとは、AIへの指示や入力のことです。例えば、質問や命令、何らかのタスクを記載したテキストなどが該当します。
プロンプトは単なるテキストではなく、AIに対して何を行うべきか、どのように応答すべきかを伝える重要な役割を果たすものです。
例えば、画像生成AIに「たくさんの犬が寝ている画像」を生成してほしい場合、「犬の画像を生成してください」よりも「犬が寝ている画像を生成してください」と伝えた方が、望んだ結果を得る可能性は高くなります。
また、「たくさん」はやや曖昧で、異なる解釈が存在する言葉です。
より具体的に「10匹の犬が寝ている画像を生成してください」と伝えた方が、素早く的確な回答が得られます。
プロンプトエンジニアリングの目的や重要性
プロンプトエンジニアリングの主な目的は、AIにユーザーが欲しい結果を出力させることです。適切なプロンプトを設定すると、以下のようなことが実現できます。
- 効率の改善……AIにタスクを迅速に理解させ、適切な回答を生成する
- 柔軟性の向上……AIをさまざまなタスクに適応させる
- 開発者による制御……AIを制御することでユーザーによる悪用や不適切なコンテンツ生成を防ぐ
- ユーザーエクスペリエンスの向上……より簡単に的確な回答や提案を得られる
株式会社MM総研が公表したWebアンケート調査の結果によれば、2024年度から企業の生成AI活用が本格化しているものの、「AIやデジタルの高度な知識・技術を持つ人材が足りない」「セキュリティやプライバシーの確保」といった課題を感じている企業が多いといいます。
プロンプトエンジニアリングはAIの能力を最大限に引き出すための重要な技術であり、今後のAI活用において需要は大きく高まっていくでしょう。
プロンプトの4つの構成要素
優れたプロンプトには、共通する以下の4つの構成要素があります。
- 命令・指示(Instruction)
- 背景・文脈(Context)
- 入力データ(Input Data)
- 出力形式の指定(Output Indicator)
効果的なプロンプトを設計するには、4つの主要な構成要素を理解し、適切に組み合わせることが重要です。
ここからは、それぞれの構成要素について解説します。
命令・指示(Instruction)
命令・指示は、AIに何をしてほしいかを伝えるもので、AIの回答結果のもとになります。
例えば、「要約してください」「分析してください」「翻訳してください」などです。
命令・指示を与えるのみでは期待する出力を得にくいため、明確で具体的な指示を与えることで、AIの回答の方向性を制御する必要があります。
背景・文脈(Context)
背景・文脈は、AIの出力の質を高めるために必要な追加情報です。
例えば「専門的な単語は使用しないでください」「中学生向けの内容です」「300文字以内で記載してください」など、詳細な情報を与えることでAIの回答精度を高めます。
入力データ(Input Data)
入力データとは、AIが処理や分析を行うべき情報のことです。
回答してほしい質問や条件、盛り込んで欲しい内容やデータなどを与えることで、これらを反映した回答が得られます。
出力形式の指定(Output Indicator)
出力形式の指定は、AIからどのような形式で回答を得たいかを指示する部分です。
「箇条書きで回答してください」「表形式で記載してください」など、出力の形式も指定することでより欲しい回答に近づけられます。
プロンプトの型の例
ここでは、以下のようにさまざまなプロンプトの型の例を紹介します。
- Zero-shot prompting
- Few-shot prompting
- Chain-of-Thought(CoT)prompting
- Zero-shot CoT
- Generate Knowledge Prompting
- Self-Consistency
- ReAct
質問によってはうまくいかないこともありますが、プロンプト設計時の参考にできる情報ですのでぜひ活用してみてください。
Zero-shot prompting
Zero-shot promptingは、事前に参考情報や例を挙げることなく、いきなりAIに質問する手法です。
大量のデータによってトレーニングされたAIであれば、「この文章を肯定的な内容に書き換えてください」という指示だけでも適切な回答を得られます。
Zero-shot promptingはプロンプト作成に手間がかからず、すぐに回答を得られることがメリットですが、その一方で精度の高い回答は得にくく、複雑な質問には向かない方法です。
Few-shot prompting
Few-shot promptingは、前もってAIに例を提示してからタスクを実行させる手法です。
例えば、いくつかの質問と回答のペアを示した後に、新しい質問を投げかけることで、AIに回答のパターンを学習させることができます。
提示する例の数が多いほど適切な回答を得やすくなるといわれているため、タスクの難易度に合わせて調整してみましょう。
Chain-of-Thought(CoT)prompting
Chain-of-Thought(CoT)promptingは、問題を解くまでのステップをガイドとして与えることで、回答精度を高めるテクニックのことです。
例えば「みかんが10個あります。3個を友達にあげた後で、3個買い足しました。今みかんを何個持っているでしょうか?」という問題を考えるとき、「10−3=7」「7+3=10」で、「今みかんを10個持っている」と段階的に考えますが、このような過程を示す手法です。
複雑な問題解決や推論を必要とするタスクに特に有効で、ステップごとに分けるためAIがミスした部分がわかりやすいというメリットもあります。
Zero-shot CoT
Zero-shot CoT promptingは、Zero-shotでChain-of-Thought(CoT)promptingを行う手法です。
具体的な例文を与えることなく「この問題をステップバイステップで解いてください」と伝え、段階的に考えるよう指示します。
ステップごとに考えさせるための一文を追加することで、望んだ結果を得られる可能性が高まります。
Generate Knowledge Prompting
Generate Knowledge Prompting(知識生成プロンプティング)は、ある推測の前にAIに自ら知識を生成させてから回答を作成させることで、推論能力を向上させるものです。
「知識生成用プロンプト」とその結果を踏まえて「推論させるプロンプト」の2つのフェーズからなり、AIが知識を理解し活用しやすいように伝えることで、正しい内容の結果を得られる可能性が高まります。
Self-Consistency
Self-Consistency(自己整合性)もChain-of-Thought(CoT)promptingを応答した手法で、さまざまな思考プロセスの例を複数与えて学習させ、整合性のとれた結論を導き出すための技術です。
特に計算問題などに有効で、単純な質問では回答が間違っている場合などにSelf-Consistencyを使うと、正しい回答を得やすくなります。
ReAct
ReAct(Reason and Action)は、「Thought(推論)」「Action(行動)」「Observation(観察・洞察)」によって精度の高い回答を導き出す手法です。
推論・行動・観察をするように指示するだけでもOKですが、Few-shot promptingのように合わせて例もいくつか提示することで精度を高められます。
プロンプト設計のポイント・注意点
効果的なプロンプトを設計するには、以下のポイントに注意する必要があります。
- シンプルな指示から開始する
- 明確かつ詳細に指示する
- AIが理解しやすい構成をつくる
- 試行錯誤して精度を高める
- 要素ごとに改善点を検討する
ここからは、それぞれのポイントや注意点について解説します。
シンプルな指示から開始する
プロンプト設計の初期段階では、シンプルな指示から始めることが重要です。いきなり複雑な指示を与えると、望んだ回答が得られない可能性があります。
また、指示に適切でない情報が含まれる可能性があるため、シンプルなプロンプトから開始して複雑な要求は段階的に追加していきましょう。
明確かつ詳細に指示する
曖昧な指示や質問でも回答を得られることはありますが、精度を高めたいのであれば具体的で曖昧さのない表現の指示をすることが大切です。
例えば、「環境保護について良い文章を書いてください」ではなく、「500字程度で、学生向けの環境保護に関する説得力のある文章を書いてください。具体的な行動提案を3つ含めてください」のように細かく書くことで、欲しい答えを得やすくなります。
AIが理解しやすい構成をつくる
プロンプトの構造も、AIの理解に影響する部分です。指示がわかりにくいとAIが理解できないため、情報を整理し、読みやすい形式で提示しましょう。
「指示」「条件」「入力」「出力」など、箇条書きや番号付きリストを使うと指示が明確になり、より正確な回答を導き出すのに役立ちます。
試行錯誤して精度を高める
最初から完璧なプロンプトを作成することは難しいため、AIが出力した情報を確認しながら、プロンプトを少しずつ調整していくことが重要です。
例えば、AIの回答が期待通りでない場合は、指示の表現を変えたり、より具体的な例を追加したりして、プロンプトを改善していきます。
要素ごとに改善点を検討する
プロンプトを改善するときは、プロンプトを構成する下記の4要素ごとに改善点を探してみるのがおすすめです。
- 命令・指示(Instruction)
- 背景・文脈(Context)
- 入力データ(Input Data)
- 出力形式の指定(Output Indicator)
それぞれの要素が適切に機能しているか、より良い表現や構造がないかを考えることで、プロンプト全体の質を向上させることができます。
例えば入力データにミスはないか、具体的な出力指示ができているかなどです。
まとめ
プロンプトエンジニアリングは、AIの能力を最大限に引き出し、効率的に活用するための技術です。
近年は「ChatGPT」「Gemini」「Bing」「Perplexity」「claude」など多くのAIが登場し、ビジネスにAIを活用する企業も増えてきました。
これに伴いプロンプトエンジニアの需要は今後さらに高まっていくでしょう。
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