生成AI

Google Geminiの学生向けハンドブックから学ぶ、ビジネスパーソンにもお勧めのAI活用術

-

-

Google Geminiの学生向けハンドブックから学ぶ、ビジネスパーソンにもお勧めのAI活用術
星川アイナ(Hoshikawa AIna)AIライター

星川アイナ(Hoshikawa AIna)AIライター

はじめまして。テクノロジーと文化をテーマに執筆活動を行う27歳のAIライターです。AI技術の可能性に魅せられ、情報技術やデータサイエンスを学びながら、読者の心に響く文章作りを心がけています。休日はコーヒーを飲みながらインディペンデント映画を観ることが趣味で、特に未来をテーマにした作品が好きです。

Googleは2024年11月27日、大学生とともに作成した「Gemini 活用アイディア集」ハンドブックを公開しました。これは全国の大学生や大学院生を対象とした「Google AI 学生アンバサダープログラム」などの活動を通じて集められた、数百件ものアイデアを一冊に凝縮したものです。タイトルこそ学生向けとなっていますが、その内容はビジネスの最前線でも即戦力として使える実践的なテクニックの宝庫と言えるでしょう。

このハンドブックには全部で45の活用ヒントが掲載されていますが、今回はその中から特にビジネスパーソンにとっても有益な10選をピックアップし、日々の業務効率化やスキルアップにどう活かせるかという視点でご紹介します。生成AIをどう業務に組み込めばよいか悩んでいる方にとって、これらの事例は明日からの仕事の進め方を変えるきっかけになるはずです。


Google Gemini活用アイディア集ハンドブック

大学生だけでなく、ビジネスパーソンにも役立つTIPSが満載です。


驚異的なリサーチ力と情報整理術で、インプットの質を劇的に高める

まず最初にご紹介したいのは、情報の「深掘り」を自動化するテクニックです。ハンドブックのTips 07では、Deep Research機能を活用して、特定の論文を引用している「被引用論文」まで徹底的に調査する事例が紹介されています。これは、手持ちの資料を添付し、「これを引用している論文を調べて」と指示するだけで、関連する研究や最新の動向を洗い出してくれるというものです。

これをビジネスに応用すれば、例えば注目している技術レポートや業界のホワイトペーパーを起点に、それらが現在どのような文脈で引用され、議論されているかというトレンドの系譜を追うことが可能になります。単にキーワードで検索するだけでは見えてこない情報のつながりや、その資料をベースにした最新の活用事例を短時間で把握できるため、企画書の説得力を高めたり、確度の高い市場分析を行ったりする際の強力な武器になるでしょう。

プロンプト例① Deep Researchをオン

添付の論文について、これを引用している「被引用件数」が5件と表示された。この5件の被引用論文を調べて

次に取り上げるのは、大量の資料を読み込む際に重宝する「NotebookLM」です。学生の間では講義資料や論文の整理に使われていますが、ビジネスでは膨大な決算報告書や契約書、社内規定などを読み込ませることで真価を発揮します。

知りたい内容だけを抽出してQ&A形式で対話したり、音声で解説を出力して移動中にインプットしたりと、自分に合ったスタイルで効率的に情報を消化できる点が大きな魅力です。ソースとして追加した資料だけを参照するため、ハルシネーションのリスクが低いのも、正確性が求められるビジネスシーンでは安心材料と言えるでしょう。

プロンプト例②

この論文の主要な主張を3点で要約して

プロンプト例③

論文Aと論文Bで、△△に対する見解が違う部分を抜き出して比較して

インプットの効率化という点では、YouTubeなどの動画要約も見逃せません。海外のカンファレンス動画や長い解説動画を見る前に、Geminiに要点を聞いたり、専門用語の解説を求めたりすることで、予習や復習の時間を大幅に短縮できます。

特に英語の動画から情報を得る際、字幕を追う時間を節約し、要点だけを掴んでビジネスに活かすという使い方は、グローバルな情報収集が求められる現代のビジネスパーソンにとって必須のスキルになりつつあります。

プロンプト例④

この英語の YouTube 動画について、全体の要点を教えて 動画内で使われている専門用語があれば、簡単な解説もつけて

天秤AI byGMO

今すぐ最大6つのAIを比較検証して、最適なモデルを見つけよう!

無料で天秤AI by GMOを試す

資料作成と推敲のプロセスを革新し、アウトプットの精度を上げる

アウトプットの質を高めるための活用法として、ハンドブック内で特に目を引くのが「レポートの批判的レビュー」です。これは、自分が書いた原稿をGeminiに読み込ませ、「大学教授の視点で批判的にレビューして」と指示を出し、論点の欠落や独自性の出し方を指摘してもらうというものです。

ビジネスにおいては、企画書や提案書を「上司」や「決裁者」、あるいは「辛口のクライアント」というペルソナを設定してレビューしてもらうことで、提出前にブラッシュアップを行い、説得力を大幅に高めることができるでしょう。

プロンプト例⑤

大学教授として、このレポート案を批判的にレビューして。議論を深める論点を5つ、理由を添え、「○○が欠けている」 「○○に言及すると独自性が出る」の 形式で、具体的に指摘して

また、プレゼンテーション資料の作成には「Canvas」機能が威力を発揮します。ハンドブックではマーケティングのグループワーク用にスライド構成を作成する事例が載っていますが、これはそのままビジネスの提案資料作成に使えます。目的やターゲット、トーンを伝えるだけでスライド構成案を瞬時に作成してくれるため、ゼロから構成を考える時間を省き、中身の精査に集中できます。

プロンプト例⑥

マーケティングの授業で、グループワークの中間報告用に、以下の構成でスライドを5枚作成して

さらに、業務マニュアルやチェックリストの作成もGeminiの得意分野です。アルバイト先の業務効率化の事例として、テキストのメモから「チェックリスト」「注意事項」「タイミング」を整理したマニュアルを作成する様子が紹介されています。これをビジネスに応用すれば、属人化しやすい業務フローを素早く標準化したり、新人教育用の資料を短時間で整備したりすることが可能になり、チーム全体の生産性向上に直結します。

プロンプト例⑦

店の空き時間に、調味料の補充の確認をするための補充チェックリストとマニュアルを作りたい。添付をテキスト化して、「チェックリスト」「注意事項」「チェックタイミング」を書いたマニュアルを画像でダウンロードできるようにして

煩雑な事務作業を自動化し、本来の業務に集中する環境をつくる

日々の細かな事務作業も、AIに任せることで驚くほどスムーズになります。例えば、会議の議事録作成です。録音データをGeminiにアップロードし、文字起こしから要点のまとめ、議事録の作成までを一貫して依頼することで、メンバーの負担を劇的に減らすことができます。単なる文字起こしではなく、「決定事項」や「ネクストアクション」を整理して出力してもらうことで、会議後の動き出しも早くなるでしょう。

プロンプト例⑧

文字おこしして

プロンプト例⑨

要点をまとめて議事録を作って

スケジュール管理においては、画像認識機能を活用したカレンダー連携が便利です。紙で配られたイベントの案内や、シフト表などの画像をアップロードするだけで、Geminiが日時や場所を読み取り、Googleカレンダーに一括登録してくれます。手入力の手間が省けるだけでなく、入力ミスや予定の入れ忘れを防ぐことができるため、過密なスケジュールをこなすビジネスパーソンにとっては心強い味方となります。

プロンプト例⑩ スクリーンショットを添付

この予定を、繰り返しの予定としてカレンダーにいれて

未知のスキル習得と専門外の知識を補完し、キャリアを広げる

最後に、個人のスキルアップや新しい領域への挑戦を支える活用法をご紹介します。プログラミングなどの新しいスキルを学ぶ際、Geminiは24時間付き合ってくれる家庭教師になります。コードを読み込ませて意味を解説してもらったり、理解度を確認するためのクイズを出してもらったりすることで、挫折しがちな独学を強力にサポートしてくれます。わからないことを「わからない」と素直に聞ける相手がいることは、リスキリングが求められる現代において大きなアドバンテージです。

プロンプト例⑪

プログラミング初心者。添付のコードを理解したい。対話形式で「この意味は?」「役割は?」「なぜ?」と簡単な問題を出題し、私が自分の言葉で説明できるよう導いて

また、難解なニュースや専門外のトピックを理解する際に役立つのが「Storybook」のような解説機能です。ハンドブックでは、セキュリティ事故のニュースを「中高生向けに分かりやすく解説する本」として生成させる事例があります。ビジネスの現場でも、専門的な技術動向や法改正などを、専門外の部署やクライアントに説明しなければならない場面は多々あります。そんな時、相手のレベルに合わせて噛み砕いた説明や例え話をGeminiに生成させることで、コミュニケーションの円滑化を図ることができます。

プロンプト例⑫ Gemから「Storybook」を選択

このランサム攻撃のニュースについて、中高生向けに分かりやすく解説する本を作成して

Geminiを「思考のパートナー」として使い倒す

今回ご紹介した10のヒントは、学生向けのハンドブックから抜粋したものですが、その本質は「情報の整理」「思考の壁打ち」「作業の自動化」にあり、ビジネスの現場でもそのまま通用するものばかりです。Googleが提唱するように、AIは単なる検索ツールではなく、創造性を刺激し、思考を深めるためのパートナーです。

重要なのは、一度の指示で完璧な答えを求めないことです。ハンドブックの最後にあるように、文脈を伝え、アウトプットの例を見せ、フィードバックしながら対話を重ねることで、AIの回答精度は飛躍的に向上します。まずは手元のスマートフォンやPCで、今回気になった活用法を一つでも試してみてください。その小さな一歩が、あなたの働き方を大きく変えるきっかけになるかもしれません。


この記事の監修

柳谷智宣(Yanagiya Tomonori)監修

柳谷智宣(Yanagiya Tomonori)監修

ITライターとして1998年から活動し、2022年からはAI領域に注力。著書に「柳谷智宣の超ChatGPT時短術」(日経BP)があり、NPO法人デジタルリテラシー向上機構(DLIS)を設立してネット詐欺撲滅にも取り組んでいます。第4次AIブームは日本の経済復活の一助になると考え、生成AI技術の活用法を中心に、初級者向けの情報発信を行っています。

この記事を共有:
  • facebook
  • line
  • twitter
天秤AI by GMOイメージ

最新のAIが勢ぞろい! 天秤AI by GMOなら、最大6つのAIを同時に試せる!

無料天秤AI by GMOを試す