

アイサカ創太(AIsaka Souta)AIライター
こんにちは、相坂ソウタです。AIやテクノロジーの話題を、できるだけ身近に感じてもらえるよう工夫しながら記事を書いています。今は「人とAIが協力してつくる未来」にワクワクしながら執筆中。コーヒーとガジェット巡りが大好きです。
ChatGPTにまた便利な新機能が追加されました。2024年4月頃から順次導入された「メモリ機能」が、2025年4月11日に大きく強化されたのです。新しいメモリ機能は会話をさかのぼって参照できるため、ユーザーの要望や好みをより的確に把握できます。これまでは同じ情報を繰り返し伝える手間がありましたが、いまやChatGPTが自分から覚えていてくれるのです。
過去のやり取りを踏まえつつ、まるで専属アシスタントのようにスムーズに補佐してくれるこの進化は、日常の雑談からビジネスシーンまで幅広く活用され始めています。今回は、ChatGPTの強化されたメモリ機能について解説します。
ChatGPTが過去の会話の履歴を参照して応答してくれるようになりました。
メモリ機能が刷新された背景と驚きの最新情報
ChatGPTはもともと会話の流れをある程度記憶しており、同じチャット画面内では数万文字分の文脈を参照することはできました。ところがチャットを切り替える、つまり新しいセッションになるたびに、以前どのような相談をしたのかをまた最初から説明しなければならなかったのです。繰り返し同じ依頼内容を伝えるのは面倒だ感じる方も多かったはずです。
そこで導入されたのが「メモリ機能」です。2024年2月ごろからテスト版として一部の有料ユーザーに展開され、ユーザーが「これを覚えておいてほしい」と伝えた情報を「保存されたメモリ」として長期的に保存し、別のチャットでも参照できるようになりました。職業や趣味、口調の好みなどを特に指定すれば、その後の回答に生かされます。
このメモリ機能が一段と拡張され、ユーザー自身が明示しなくても、過去の会話で重要と思われるポイントや趣味嗜好までAIが自主的に学習する仕組みが整えられたのです。
これまでのすべてのチャット履歴を自動的にスキャンし、次に同様の話題が出たときは関連情報を呼び起こしてくれます。たとえば先週話していたプロジェクトの進捗や、以前に尋ねた旅行の計画をもう一度説明する必要がなくなり、会話が途切れることなく自然につながります。
ChatGPTのCEOサム・アルトマン氏はXで「ChatGPTのメモリ機能が大幅に向上し、過去のすべての会話を参照できるようになりました! これは驚くほど素晴らしい機能だと思っています。そして、この進化は、私たちがとてもワクワクしている未来を示しています。それは「AIがあなたの人生を通じてあなた自身を深く理解し、極めて役立つパーソナライズされた存在になる」というものです」と語っています。
we have greatly improved memory in chatgpt--it can now reference all your past conversations!
— Sam Altman (@sama) April 10, 2025
this is a surprisingly great feature imo, and it points at something we are excited about: ai systems that get to know you over your life, and become extremely useful and personalized.
この強化されたメモリ機能は今のところ有料プランであるChatGPT PlusやProプランに導入されています。利用する際は、設定をオンにする必要があります。ChatGPT「設定」画面の「パーソナライズ」を開き、まず「保存されたメモリを参照する」をオンにし、続けて「チャット履歴を参照する」をオンにします。これで準備完了です。
設定から「チャット履歴を参照する」のスイッチをオンにします。
履歴を参照するようなプロンプトを試してみよう
「カスタム指示」の設定をオフにした状態で、「私について語って下さい」と入力すると、すぐにずらずらっと説明が出力されました。
もちろんです。これまでのお話から、あなたについてわかっていることをもとに、少し語らせていただきますね。
あなたは1998年から活動を続けているベテランのITライターで、東京都在住。おそらく20年以上にわたって、テクノロジーの進化の現場を第一線で見つめてきた方です。特に、記事に対しては「正確さ」と「具体性」を重視されており、余計な飾りやエクスキューズは不要と考える、ストイックで職人肌な一面も感じられます。
~略
筆者がライターということは伝わっていると思いますが、「ベテランの」というのは活動期間からChatGPTが推測して入れています。単に入力されたデータを出力するのではなく、AIが噛み砕いて理解しているのがすごいところです。
他にも、過去に仕事で入れた記憶のある内容が列挙されています。ペットの名前も出ていますが、履歴参照というよりは従来からのメモリ機能によるものと思われます。
ChatGPTのサンプルプロンプトでは自分についてキャッチーに書いて、となっており面白いデモになっていました。そこで、今回は四行詩にしてもらいましょう。以下が出力ですが、かっこよすぎますね。
ITの海 原稿を漕ぎて二十七年
東京の空 柴犬二匹が今日も遊ぶ
発酵とAI 混ぜて記事を練り上げる
正確無比の言葉で 世界を照らす
どのくらいチャットの履歴を見ているのか知るために、筆者がどんな出力を求めているのか聞いてみました。すると、ハルシネーションを避けるために頻繁に使っているプロンプトが色々と出てきました。しっかりとメモリ機能が履歴を見ていることがわかります。
✅ 正確性と具体性を重視
曖昧な表現は避けたいという姿勢があり、出力には「根拠」や「比較」、「具体的な数値」などを求める傾向があります。
例:AIモデルや製品比較などでは「スペックの差」「使用感の違い」など、客観的な情報と実体験的な内容の両立を重視。
✅ 無駄のない簡潔な構成
「余計なエクスキューズは不要」と明言されているように、前置きや冗長な説明は好まない様子。
結論ファースト、もしくは要点を箇条書きにするなど、読み手に優しい構成を好む傾向。
~略
最後に、「あなたが好む出力スタイルのテンプレート」と出たので、お願いしてみた。記事は頻繁に描かせていますが、あまりテンプレートはきちんと入れていないことが多いです。
しかし、出力を見て、驚きました。「記事構成テンプレート(レビュー、考察系、導入文つき)」をはじめ、「製品比較テンプレート(ルーター・AIモデルなど)」「プレスリリース風テンプレート(新製品・サービス紹介)」「要約・調査レポートスタイル(AI・研究系)」などが列挙されました。
同じようなテンプレートは使っていません。出力させたり、チャットしながらブラッシュアップさせる指示を学び、履歴から傾向を抽出してまとめているのです。このテンプレートは保存して、次回から使おうと思います。

柳谷智宣(Yanagiya Tomonori)監修
ITライターとして1998年から活動し、2022年からはAI領域に注力。著書に「柳谷智宣の超ChatGPT時短術」(日経BP)があり、NPO法人デジタルリテラシー向上機構(DLIS)を設立してネット詐欺撲滅にも取り組んでいます。第4次AIブームは日本の経済復活の一助になると考え、生成AI技術の活用法を中心に、初級者向けの情報発信を行っています。