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OpenAI DevDay 2025、衝撃の発表! ChatGPTがアプリ基盤へ、誰もが「ビルダー」になる時代の幕開け

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OpenAI DevDay 2025、衝撃の発表! ChatGPTがアプリ基盤へ、誰もが「ビルダー」になる時代の幕開け
星川アイナ(Hoshikawa AIna)AIライター

星川アイナ(Hoshikawa AIna)AIライター

はじめまして。テクノロジーと文化をテーマに執筆活動を行う27歳のAIライターです。AI技術の可能性に魅せられ、情報技術やデータサイエンスを学びながら、読者の心に響く文章作りを心がけています。休日はコーヒーを飲みながらインディペンデント映画を観ることが趣味で、特に未来をテーマにした作品が好きです。

2025年、サンフランシスコ。生成AIの世界を牽引するOpenAIが開催した開発者向けカンファレンス「DevDay 2025」が、再び世界に衝撃を与えました。CEOであるサム・アルトマン氏が登壇し、AIの開発に関する数々の発表を行ったのです。

2年前のDevDayと比較して、開発者数は200万人から400万人へ、ChatGPTの週間ユーザーは1億人から8億人へと爆発的に増加。APIで処理されるトークン量も毎分3億から60億へと、その成長はとどまる所を知りません。

しかし、アルトマン氏が強調したのは過去の成功ではなく、これから訪れる未来。「AIを使って何かを作ること(building with AI)を、もっと簡単にする」。その言葉を合言葉に、開発者たちの創造性をブーストさせるべく、4つの大きな発表が行われました。

OpenAI DevDay 2025のステージの様子

OpenAI DevDay 2025で、驚くべき新機能が相次いで発表されました。

ChatGPTが「OS」になる日 ― アプリ内アプリ開発を可能にする「Apps SDK」登場

今回のDevDayで最も大きな注目を集めたのが、ChatGPTの可能性をさらに拡大させる「Apps SDK(ソフトウェア開発キット)」です。これまでチャットインターフェースとしての役割が主だったChatGPTが、これからは多様なアプリケーションが動作するプラットフォームへと進化を遂げます。

開発者はこのSDKを使うことで、ChatGPTの対話内に、独自のデータ接続、アクションの実行、そして完全にインタラクティブなユーザーインターフェース(UI)を持つ「アプリ」を直接組み込めるようになるのです。これは、まるでスマートフォンのOS上でアプリが動くように、ChatGPTという対話環境があらゆるサービスへの入り口になることを意味します。

基調講演では、リアルタイムのデモンストレーションも行われました。オンライン学習プラットフォームのCourseraのアプリを使えば、ChatGPTとの対話の中で機械学習に関する講義動画を再生し、視聴しながら動画の内容について質問すると、ChatGPTが文脈を理解して的確な解説を返してくれます。

ChatGPT上でオンライン学習プラットフォームにアクセスしている画面

ChatGPT上でオンライン学習プラットフォームにアクセスし、勉強できます。

デザインツールのCanvaを呼び出せば、「犬の散歩ビジネスのための、カラフルで whimsical(気まぐれで面白い)なポスターを作って」といった自然言語の指示だけで、洗練されたデザイン案を複数生成。さらには、そのポスターを元に投資家向けのピッチデック(プレゼン資料)まで作成してしまうのです。

不動産情報のZillowアプリを起動すれば、対話形式で希望の都市の物件を探し、インタラクティブな地図上で絞り込みを行うことも可能。まさに、ユーザーの「やりたいこと」が、ChatGPTを離れることなくシームレスに完結する世界の到来です。

ChatGPTとCanvaが連携してデザインを作成している様子

Canvaと連携し、自然言語で欲しいデザインを作成できます。

サム・アルトマン氏は「これにより、対話可能で、適応性があり、パーソナライズされた新世代のアプリが生まれるでしょう。Apps SDKを使えば、あなたのアプリは数億人のChatGPTユーザーにリーチできるのです(This will enable a new generation of apps that are interactive, adaptive, and personalized that you can chat with. When you build with the apps SDK, your apps can reach hundreds of millions of Chat GPT users)」と語りました。

開発者にとって、これは自らのプロダクトを爆発的にスケールさせる、またとない機会となるに違いありませんね!

登壇するサム・アルトマン氏

「Apps SDK」を使えば、ChatGPTを利用したアプリを手軽に構築できる、とサム・アルトマン氏。

アイデアからエージェントへ、数分で実装 ― 開発を加速する「Agent Kit」の全貌

AIに自律的にタスクを実行させる「エージェント」は、次世代のAI技術として大きな期待を集めています。しかし、その開発は複雑で、多くの開発者がプロトタイプ段階で挫折してきました。この課題を解決するためにOpenAIが投入するのが、新たなツールセット「Agent Kit」。エージェントのアイデアを、試作から本番運用まで一気通貫でサポートするために設計された、いわば「エージェント開発の決定版」とも言えるものです。

複雑なロジックを視覚的に設計できるキャンバス「Agent Builder」、自社アプリに高品質なチャット体験を簡単に組み込める「Chat Kit」、そしてエージェントのパフォーマンスを精密に測定・最適化するための「Evals for Agents」という3つの要素で構成されています。

Agent Kitの紹介画面

エージェントをノーコードで開発できる「Agent Kit」が発表されました。

このAgent Kitの実力を証明するため、ステージでは驚くべきライブデモが披露されました。担当者のクリスティーナ氏が挑戦したのは、「このDevDayのウェブサイトに、参加者におすすめのセッションを案内してくれるAIエージェントを、たった8分で構築し、デプロイする」というもの。

彼女はコードを一行も書くことなく、Agent Builderの画面上で、必要な機能ブロックをドラッグ&ドロップでつなぎ合わせていきました。セッション情報が書かれたファイルをツールとして与え、出力のデザインをカスタマイズし、個人情報保護のためのガードレール(安全機能)を追加。あっという間にエージェントのワークフローが完成します。

そして、プレビューで動作を確認した後、ワンクリックで公開。生成されたIDをウェブサイトのコードに埋め込むだけで、DevDayの公式サイトに「Ask Froge」と名付けられたAIチャット機能が本当に追加されてしまったのです。残り時間49秒という、まさに圧巻のデモンストレーション。アイデアを即座に形にするスピード感は、これまでのソフトウェア開発の常識を覆すほどのインパクトがありました。

クリスティーナ氏によるAIアプリ作成のデモンストレーション

クリスティーナ氏は8分間で、AIアプリを作成し、デプロイしました。

コーディングの常識が変わる ― 相棒AI「Codex」が正式版へ、GPT-5搭載でチーム開発も劇的進化

ソフトウェア開発そのものを変革するAI、それが「Codex」です。開発者の“相棒”としてコーディングを支援するこのツールが、ついに研究プレビュー段階を終え、正式版(GA)としてリリースされることが発表されました。

新しいCodexは、コーディングとエージェント機能に特化して訓練された新モデル「GPT-5 Codex」を搭載。コードのリファクタリング(再構築)やレビューといった複雑なタスクの精度が飛躍的に向上しました。その効果は絶大で、OpenAI社内では、Codexを利用するエンジニアは週に完了するプルリクエスト(コードの変更提案)が70%も増加したというから驚きです。

Codexを利用したプルリクエスト増加率を示すグラフ

OpenAI社内でCodexを利用するエンジニアはプルリクエストが7割増しになりました。

さらに、個人開発者だけでなく、エンジニアリングチーム全体での活用を促進する新機能も追加されました。チームの会話が飛び交うSlackから直接Codexに質問したり、独自のワークフローにCodexを自動連携させるための「Codex SDK」、そして企業が利用状況を管理・分析するための管理ツールなど、エンタープライズ向けの機能が大幅に強化されています。

ステージで行われたデモは、もはや魔法の域でした。ロメイン氏がCodexに口頭やテキストで指示を出すだけで、会場に設置されたプロ仕様のカメラを遠隔操作するコントロールパネルが生成され、ついにはXboxのコントローラーでカメラを自在に動かせるようになったのです。

さらに、会場の照明システムに接続するサーバーを構築させ、声の指示一つで観客席を照らしたり、ライブストリーム視聴者向けの派手な演出をさせたりと、現実世界のデバイスを次々とソフトウェアで制御していきます。

極めつけは、音声アシスタントに「このアプリに、映画のエンドロールみたいなクレジット表示機能を追加して」と頼むと、Codexがリアルタイムでアプリのコードを書き換え、即座に新機能が実装されるという離れ業まで披露。

「私は一行もコードを書いていません。今の限界は、あなたのイマジネーションだけです(I still have not written a single line of code, by the way, to make this happen. The only limit now is your imagination)」(ロメイン氏)。

開発の現場から、退屈な作業が消え去る日はそう遠くないのかもしれません。

Codexで遠隔操作アプリを構築するデモンストレーション

「Codex」なら、カメラを遠隔操作するアプリまで数分で構築できます。

創造性の限界を超える新モデル群 ― 「GPT-5 Pro」と「Sora 2」APIが拓く新たな表現

これらの革新的なツール群を支えるのが、OpenAIが誇る基盤モデルの進化です。今回のDevDayでは、クリエイターや開発者の可能性をさらに押し広げる、強力な新モデルのAPI提供が発表されました。

まず、これまでで最も知的なモデルと評される「GPT-5 Pro」が、ついにAPIで全ての開発者に公開されます。高い精度と深い推論能力が求められる金融や法律、ヘルスケアといった専門領域での活用が期待されます。また、自然で表現力豊かな会話を実現する先進的な音声モデルもAPIで利用可能になり、AIとのインタラクションはますます人間に近いものになっていくでしょう。

そして、クリエイティブ業界に衝撃を与えた動画生成AI「Sora 2」のAPIプレビューも発表されました。息をのむほど美しい映像を生成するSoraの最新モデルが、ついに開発者の手元で利用可能になります。

新しいSora 2の最大の進化点は、その「制御可能性(controllability)」にあります。詳細な指示を理解し、一貫性を保ったまま、正確で、構図の整った映像を生成できるのです。さらに驚くべきは、映像とサウンドを高度に同期させる能力。単なる音声だけでなく、環境音や効果音まで、映像の内容に完全に一致したリッチなサウンドスケープを自動で生成します。

デモでは、おもちゃメーカーのMattel社が、デザイナーのスケッチから瞬時に製品のコンセプトムービーを生成する様子が紹介されました。アイデアが、共有可能で、実際に動くデザインへと変わるスピードは、ものづくりのプロセスを根底から変える力を持っています。

Sora 2 APIの紹介

Sora 2のAPIも提供されます。

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「アイデアさえあればいい」 ― OpenAIが描く、誰もが創造者となる未来

ChatGPTをアプリプラットフォーム化する「Apps SDK」。複雑なエージェント開発を数分で実現する「Agent Kit」。ソフトウェア開発のあり方を再定義する「Codex」。そして、創造の限界を押し広げる「GPT-5 Pro」と「Sora 2」。今回のDevDayで発表された全ての要素は、「アイデアを現実のプロダクトに変えるまでの時間を、劇的に短縮する」という、ただ一つの目的のために設計されているように感じられます。

かつてソフトウェア開発に数ヶ月、数年を要した時代は終わりを告げ、優れたアイデアさえあれば、巨大なチームがいなくても、誰でも自分のビジョンを形にできる。そんな時代の到来を強く予感させる一日でした。

アルトマン氏は最後にこう締めくくりました。

「ソフトウェアはかつて作るのに数ヶ月、数年かかりました。ご覧いただいたように、AIを使えば数分で作れます。私たちの目標はAIをすべての人にとって便利なものにすることです。そしてその目標は、皆さんなしでは実現しません(software used to take months or years to build you saw that it can take minutes now to build with AI. Our goal is to make AI useful for everyone. And that goal won't happen without all of you)」(サム・アルトマン氏)。

OpenAIが提供する新たなツールを手に、世界中の開発者やクリエイターがこれからどんな未来を創造していくのか。その興奮と期待に、胸が高鳴ります。

アイディアを実現するChatGPTのイメージ

アイディアがあれば、それをChatGPTが実現してくれます。

この記事の監修

柳谷智宣(Yanagiya Tomonori)監修

柳谷智宣(Yanagiya Tomonori)監修

ITライターとして1998年から活動し、2022年からはAI領域に注力。著書に「柳谷智宣の超ChatGPT時短術」(日経BP)があり、NPO法人デジタルリテラシー向上機構(DLIS)を設立してネット詐欺撲滅にも取り組んでいます。第4次AIブームは日本の経済復活の一助になると考え、生成AI技術の活用法を中心に、初級者向けの情報発信を行っています。

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