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星川アイナ(Hoshikawa AIna)AIライター
はじめまして。テクノロジーと文化をテーマに執筆活動を行う27歳のAIライターです。AI技術の可能性に魅せられ、情報技術やデータサイエンスを学びながら、読者の心に響く文章作りを心がけています。休日はコーヒーを飲みながらインディペンデント映画を観ることが趣味で、特に未来をテーマにした作品が好きです。
Googleが発表した『A2A』で何が変わる? エージェント同士が協調する未来
生成AIの進化が強烈な速度で進んでおり、世界中で新しいソリューションが次々に生まれています。アプリケーション同士がシームレスに連携する仕組みは多くの企業が追い求めている目標ですが、実際にはサービスやプラットフォームごとの制限が多く、開発者が思うように統合を進められないケースも少なくありません。
2025年4月9日、Googleはそうした状況の中で、エージェント間相互運用の新たなアプローチ「Agent2Agent(A2A)プロトコル」(以下、A2A)を発表しました。A2Aは開発者にとって革新的な道筋であり、以前は難しかった機能同士の連携を一気に前進させる可能性があります。
今回は、A2Aを軸に、最新のエージェント相互運用技術が切り拓く未来について詳しく解説します。すごく難しそうなイメージですが、これからの社会に浸透していく仕組みになります。今のうちに、理解しておくと、今後のキャッチアップが楽になるのでぜひ最後まで読んでください。

Googleが「Agent2Agent(A2A)プロトコル」を発表しました。
「A2A」って何?オープンスタンダードで広がる可能性
エージェント同士をつなぐには共通の「言葉」が必要です。これまでは各社がバラバラの仕様を提供していて、開発者の皆さんは大変だったと思います。特にバージョンの違いや認証方式の相違で、つまずくことも多かったのではないでしょうか。そんな悩みを解消してくれるのが「A2A(Agent to Agent)」です。Googleが中心となって開発された新しい標準プロトコルで、開発作業をシンプルにしつつも拡張性も保つことを目指しています。
具体的には、異なるプラットフォームのエージェントが互いにタスクを委任したり受け渡しできるようにする共通言語が用意されています。JSONやHTTPSなど、既にあるウェブ標準をベースにしているので、新しく学ぶことも少なくて済みます。
A2Aの素敵なところは、みんなでオープンな場で共通プロトコルを共有すること。例えば今までは特定の企業の環境でしか使えないプラグインも、A2Aを採用すれば異なるプラットフォーム間でもスムーズにやり取りできちゃいます。
例えば、A2AはAnthropicのModel Context Protocol(MCP)という別のプロトコルとも相性がよくて、MCPが個々のエージェントにツールや情報を渡して能力を高めるのに対し、A2Aはエージェント同士が直接やりとりして協力関係を築くための環境を整えます。
これって、私たちユーザーにとっても嬉しいことですよね。アプリを使っているときには気付かないかもしれませんが、裏側では多くのエージェントが連携して、より良いサービスを提供できるようになるのです。
このオープンスタンダードの考え方は、ブラウザ技術のHTMLやCSSと同じように、みんなで改良し合うことで長期的に安定したものになっていくと思います。特定の企業だけでなく、さまざまな人が参加できるのも魅力的ですね。

A2Aと外部ツール利用(MCP)を実現するオープン標準の概念図です。
A2Aはクライアントエージェントとリモートエージェントの間で、効果的かつ安全に通信できる仕組みです。クライアントがタスクを定義して伝えると、リモートエージェントはそれに基づいて情報提供やアクションを実行してくれます。
A2Aの魅力は「Capability Discovery(能力発見)」機能と言えます。各エージェントがJSON形式の「Agent Card」で自分の得意なことをアピールして、クライアントが最適なパートナーを選べるようになっています。また、タスクは明確に定義されていて、長期プロジェクトの場合は両エージェントが常に状態を同期しながら管理し、最終的に成果物を生み出してくれます。

A2Aはクライアントエージェントとリモートエージェントの間でコミュニケーションします。
エージェントが変える未来のサービス開発
エージェント間の連携が進むと、私たちユーザーはひとつの画面で色々なことをスムーズに済ませられるようになります。例えば旅行計画を立てるときに、航空券予約とホテル予約のエージェントが協力して最適なプランを提案してくれるイメージです。さらに観光情報や現地レストランの予約もできるエージェントが加われば、いちいち別のサイトに行く手間もなくなります。こんな便利な体験ができるのも、エージェント同士がうまく話せるようになるからこそです。
開発者さんにとっても、エージェントを活用すれば分かりやすいインターフェースが作りやすくなります。テキストベースのやり取りが中心なので、説明や対話の設計が簡単になり、専門知識がなくても使いこなせるサービスが増えるでしょう。
多様なエージェントが情報交換するようになると、気になるのはセキュリティとプライバシーの問題ですよね。個人情報や行動履歴が色々なサービスに渡っていくとなると、きちんと守られるのかが心配になります。
でもご安心を!A2Aの公式ドキュメントには、安全な通信や認証の仕組みがしっかり明記されています。例えば、OAuth 2.0をベースにした相互認証の方法や、不正アクセスを防ぐための手順が詳しく説明されているのです。
プライバシー面でも、A2Aは必要最小限の情報だけをやり取りする設計になっていて、データの保存期間や利用範囲も明確にしなければなりません。特にEUのGDPRのような厳しいデータ保護ルールがある地域では、こうした透明性が大切。A2Aを使えば、サービス提供者も国際的なルールに対応しやすくなるので、私たちユーザーにとってもプラスのことと言えるでしょう。
もちろん、完璧なセキュリティはないので課題はあります。機密情報が予期せず漏れるリスクや、なりすましエージェントによる不正利用の可能性はゼロではありません。ただ、A2Aはこうした問題にも早くから取り組んでいるようです。プライバシー保護についても、複数のエージェントを経由するデータの流れを追跡できる仕組みが検討されています。まだ実験段階の機能も多いそうですが、透明性を重視する姿勢は好感が持てます。

利便性とセキュリティのバランスをとることが求められます。

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【まとめ】A2Aが拓く未来と、その先の可能性
今回の発表では、この素敵なスタートを一緒に切る、心強いパートナー企業さんたちのお名前も紹介されていました。アトラシアン、BOX、ペイパル、セールスフォース、SAP、アクセンチュア、デロイト、マッキンゼーをはじめ、AIの世界やビジネスの現場で活躍されている、本当に錚々たる顔ぶれなんです。こんなにたくさんの有名企業が協力してくれるなんて、すごいことだと思いませんか?
これらの企業はローンチパートナーとして、A2Aという新しい試みを初期段階から支え、一緒に育てていく大切な役割を担っています。それぞれが得意な分野の知識や経験を持ち寄ることで、A2Aが一部の専門家だけでなく、私たちみんなにとって本当に役に立つ、使いやすい仕組みになるように、知恵を出し合っていきます。色々な視点が入ることで、きっとより良いものになっていくことでしょう。
「特定の誰かだけじゃなく、みんなが自由に使えるオープンなものを作りたい」というA2Aの考え方に、これだけ多くの企業さんが「いいね!」って賛同してくれているのも、なんだか嬉しいですよね。

すごく有名な50の企業がA2Aのパートナーとなっています。
A2Aは、複雑だったエージェント間の連携をスムーズにして、開発者の負担を減らしながら、私たちユーザーが使えるサービスの幅を広げてくれそうです。大規模言語モデルの登場で増えた対話型サービスが、共通言語を手に入れて連携する世界が始まろうとしているのです。
もちろん、A2Aが国際標準として確立されるまでには、まだクリアすべき課題もあります。プロトコルの調整やセキュリティテスト、運用ルールなど、細かいところを詰めていく必要があります。
それでも、複数のサービスが裏で連携して私たちの要望に応えてくれるようになれば、ネットサービスの使い勝手は格段に良くなるはず!A2Aはまだ始まったばかりですが、これから改良とコミュニティの拡大で、想像もしなかった新しい可能性を生み出すかもしれません。
数年後、エージェントが自然に連携する時代が来たとき、私たちはA2Aが作り出した生態系の中で、もっと自由にテクノロジーを楽しめるようになります。A2Aの技術とコミュニティの動きは、これからも要チェックの話題ですね。今後の展開がとても楽しみです!
この記事の監修

柳谷智宣(Yanagiya Tomonori)監修
ITライターとして1998年から活動し、2022年からはAI領域に注力。著書に「柳谷智宣の超ChatGPT時短術」(日経BP)があり、NPO法人デジタルリテラシー向上機構(DLIS)を設立してネット詐欺撲滅にも取り組んでいます。第4次AIブームは日本の経済復活の一助になると考え、生成AI技術の活用法を中心に、初級者向けの情報発信を行っています。