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星川アイナ(Hoshikawa AIna)AIライター
はじめまして。テクノロジーと文化をテーマに執筆活動を行う27歳のAIライターです。AI技術の可能性に魅せられ、情報技術やデータサイエンスを学びながら、読者の心に響く文章作りを心がけています。休日はコーヒーを飲みながらインディペンデント映画を観ることが趣味で、特に未来をテーマにした作品が好きです。
満を持してウェブ検索&Google Workspaceに対応したClaude、リサーチ機能も強化
2025年4月16日、AnthropicはClaudeをGoogle Workspaceに統合し、さらにResearch機能をリリースしました。これまで、GeminiやChatGPTがウェブ検索機能に対応しているのに、Claudeは我が道を歩いていたのですが、ここに来て突然の発表です。しかも、Gmail、Googleカレンダー、ドキュメントとも連携できるうえ、ディープリサーチのような機能も最初から搭載しています。
今回も強烈なアップデートとなります。早速使ってみて、新しいClaudeの実力をチェックしてみましょう。
ClaudeがGoogleサービスと連携し、ウェブ検索もできるようになりました。
ウェブ検索で最旬情報を狙い撃ち:より正確なリサーチを実現する仕組み
まず注目したいのは、2025年3月に先行公開され、4月から日本を含む一部地域でも使えるようになったClaudeのウェブ検索機能です。これまでClaudeは2024年10月までのデータを学習ベースに備えており、その範囲内では極めて高い推論力を誇っていましたが、リアルタイムの最新情報を得るのは難しいという弱点がありました。このウェブ検索機能の追加により、ウェブサイトを検索しながら最新のニュースや資料を入手できるようになったのです。
例えばマーケティング担当なら、自社製品の動向を分析するときにウェブ検索を活用し、競合商品のレビューや価格情報、新たな市場トレンドなどを瞬時に収集できます。これまでは自力でいくつものサイトを行き来して調べたあとに要約する必要がありましたが、Claudeなら会話の流れで「競合Aの最近のリリース内容を分析し、差別化ポイントを教えてください」のように尋ねるだけで、複数の検索を連続実行して必要な情報をまとめてくれます。回答には引用元リンクが付いているため、ユーザー側は情報の裏付けをすぐに確認することができ、誤情報リスクも抑えられる仕組みです。
ウェブ検索に対応したClaudeが扱うソースは非常に幅広く、ニュースサイトや専門ブログから、SNSまで含まれます。検索結果が巨大になる場合でも、Claude 3.7 Sonnetの高い推論能力と、マルチステップで複数検索を行う「エージェント型」のアプローチにより、多角的かつ包括的な回答を得られるのが特長です。
Anthropicでは、週に2~3時間かかっていたリサーチ作業が数分で完了したそうです。複数ソースを横断し、同時に要約や整理まで行うため、単なる検索エンジン以上の効率化が見込めるというわけですね。
さらに米国、ブラジル、日本の有料プランユーザーは、プロファイル設定でウェブ検索をオンにするだけで利用できます。ChatGPTやPerplexityなど、すでに検索機能を備えた他のアシスタントとの違いとしては、Claudeは短時間で要点を押さえた回答にたどり着きやすい点です。実際に競合他社のディープリサーチ機能が数十分かかる場面があるのに対し、Claudeは1分以内で複数の検索をまとめることもあります。
ウェブ検索のスイッチをオンにして、「天秤AI」について調査した画面です。
最新情報を元にClaudeならではの高品質な日本語原稿が生成されました。
Google Workspace連携でGmailをユーザーの代わりに読んでくれる
Claudeのもうひとつの革新的なアップデートが、Google Workspaceとの統合です。まずは、ClaudeのMax、Team、Enterprise、Proプラン加入者にまずベータ版として展開されました。
従来のチャットボットは、ユーザーが必要なファイルをアップロードして、それを読み込ませて回答させるというフローが必要ですが、ClaudeがGoogle Workspaceと連携できるようになったことで、GmailやGoogleカレンダー、Googleドキュメントの情報を自動的に検索・取得し、回答に反映してくれます。
例えば「先週のクライアントAとのやり取りを振り返って、今後のアクションアイテムを教えてほしい」という質問をするだけで、Claudeが自分のGmailのメール本文を読んで、整理したリストを提示してくれます。
特にメールを大量に抱えるビジネスパーソンにとって、GmailとClaudeの統合は大きな魅力です。毎日のように届く数十通、時には数百通ものメールを全部読んで、重要箇所だけ抜き出すのは重労働ですよね。
Claudeなら会議予定や納期、依頼事項など重要そうな内容をピックアップしてくれるので、作業時間を大幅に削減できます。返事を出しそびれていたクライアントへのフォローアップも「最近返事できていないメールを探して、必要な要点をまとめて」と頼むだけで済むため、コミュニケーションロスを防ぐ効果が期待できるのです。
試しに、返信し忘れていたメールを検索し、リストアップさせ、メール本文まで考えさせてみました。すると、まずGmailの検索が始まり、14通をリストアップしてくれました。それぞれのメールの件名、送信者、受信日、重要度スコア、理由を表組にしてくれて、その後、メールの返信案をそれぞれ個別に作成してくれました。重要度1~3は返信不要と判断し、本文を生成しなかったのも感心しました。
Gmailに搭載してくれれば最高なのに、とずっと思っていた機能が生成AIのおかげで実現しました。これはヘビーユース確定ですね。
■プロンプト
先週以降、重要な内容なのに、返信していないメールをリストアップし、重要度をスコア化してください。そして、そのそれぞれへ返信する内容をアドバイスしてください。
カレンダー予定とAIが融合、Claudeのスケジュール管理で日々を変える
メールの内容をAIに読ませるだけでなく、Googleカレンダーに登録したイベントやミーティング情報をClaudeが参照できるようになった点も、今回のアップデートの注目ポイントです。忙しいビジネスパーソンや子育て中のママ・パパたちにとって、スケジュール管理は欠かせないタスクですよね。毎週のように増えていく会議やプライベートの予定を把握し続けるのは大変ですが、AIと連携することで驚くほど効率化できるのです。
Claudeがカレンダー情報にアクセスできるようになると、たとえば週末の予定を整理したいときに「来週月曜から金曜までの予定をリストアップして、特にクライアント案件に関わる日時をマークしてほしい」と頼むと、ClaudeがGoogleカレンダーをチェックし、クライアントとの打ち合わせや社内会議、外部イベントなどの予定を見やすくまとめてくれます。これなら余分な会議が重なっていないかを素早く確認でき、タスク割り当てもスムーズに進むはずです。
もし子育て中なら、学校の行事や習い事と仕事の会議がバッティングしていないかどうかなどを、Claudeに一括で確認してもらうという使い方もあります。必要に応じて、「カレンダーで旅行の日程をチェックし、天気予報も合わせて教えて」というように、ウェブ検索機能を組み合わせて総合的にサポートしてもらうことも可能です。これまでは複数のカレンダーアプリとニュースサイトを手動でチェックしていましたが、Claudeを活用すればワンストップで必要な情報が揃うので、朝の忙しい時間帯でもパパッと確認できてとても便利ですね。
カレンダーとAIが融合すると、会議のアジェンダやゴール設定も取りこぼしなく管理できます。たとえば営業ミーティングの前に「今日の10時からの会議で検討する顧客案件に関する情報をまとめておいて」と頼むだけで、Claudeがメールやドキュメント、カレンダーから関連事項を精査し、レジュメを用意してくれます。
各種ファイルを探す作業に割いていた時間が浮いて、そのぶん会議の質を高めることに集中できます。実際に米国のマーケティング企業では、スケジュール管理と関連情報の自動取得により週あたり5時間程度の作業時間が削減されたという事例もあるそうです。
カレンダー情報を参照する際も、Claudeは引用の形でどのイベントから拾ったか明示してくれます。誤って違う会議を参照していた場合には、すぐに訂正ができる仕組みです。こうした設計思想は、信頼性の確保とユーザーが安心して使える環境を整えるうえでとても大切だと感じます。今後のアップデートで、カレンダー上での自動アラートや会議の再調整提案など、さらに便利な機能が追加される可能性もあります。
試しに、「今後2週間の予定をチェックし、出張や旅行時の現地の天気予報を教えてください」と入力したら、見事に出かける用事だけを抽出し、天気予報と服装のアドバイスを出力してくれました。
カレンダーを検索し、件名から旅行などの予定をピックアップしてくれました。
それぞれの場所について天気予報をまとめてくれました。
ドライブ連携で資料探しを一気に時短:ClaudeとGoogle Driveのベストマッチ
Googleドライブはチーム内のドキュメント共有や共同編集に使われることが多く、そこに資料がたくさん蓄積されがちです。ところが、いざ過去の議事録や仕様書を探そうとすると、何百ものファイルが並んでいて、いったいどれを読めばいいのか分からない……という状態になりませんか。今回のアップデートでは、そんな状況を一変させる「Google Drive統合」も注目されています。
ClaudeがGoogle Driveのドキュメントにアクセスするときは、ユーザーが利用を許可したファイルのみを参照する仕組みです。また管理者がドメイン全体でDrive連携を有効にしていれば、組織内に保管されている大量の資料をセキュアな形で検索できます。
AnthropicはEnterpriseプラン向けの「カタロギング」技術を提供しており、分散されたファイルのタイトルや本文を自動でインデックス化することができます。ドキュメント名やフォルダ構成を覚えていなくても、「昨年の製品Aリリース時に作成されたデータシートを確認したい」という曖昧な指示で、Claudeが必要なファイルを発見して引用部分を抽出してくれます。
そのため「複数のファイルから要点をまとめて、最新版の仕様と比較してほしい」や「3か月前の会議メモにあったセキュリティ要件を抜き出して、今のドキュメントと整合性をチェックしたい」のように、従来は手作業で時間をかけて調べていた作業が大幅に効率化されます。別のナレッジツールを使わなくても、組織のGoogle Driveに蓄積された資料だけで最適なアウトプットを得ることができるのです。
ちなみにGoogle Drive連携はMax、Team、Enterprise、Proプランすべてで使用可能と発表されていますが、カタロギングや高度なRAG(Retrieval-Augmented Generation)機能はEnterpriseプラン限定となっています。Anthropicによれば、GitHubリポジトリとの連携も別途ベータ版が進んでいるそうで、さらに多くのクラウドサービスと組み合わせることで、社内外の情報を完全にシームレスにつなげられる未来図を目指しているとのことです。今後、他のSaaSへの対応が拡大していけば、資料探しから議事録作成、意思決定までをClaudeが一手にサポートするような時代がやってくるかもしれません。
ドキュメントを大量に抱える部門ほど、こうした自動検索・要約のありがたみを強く感じるでしょう。マーケティングやセールス、エンジニアリングチームなど、多様な職種で生産性アップを実感できるはずです。クラウドの良さを最大限に活かす取り組みとして、ClaudeとGoogle Driveの組み合わせは大いに注目を集めています。
試しに、会議の議事録を集めたフォルダを指定し、その中にある大量のファイルを分析し、色々なインサイトを出してもらいました。数分後、見事に会議の内容についての考察や参加者の発言具合などをレポートしてくれました。
会議のテーマの割合、会議への参加回数、発言パターンなどを詳細に分析してくれました。また、重複する内容の会議や結論が不明確な会議も指摘し、改善案まで出してくれました。
専門サービスではなく汎用型のClaudeでここまでのことができてしますのは驚きの体験です。やはり、情報をテキストデータとしてきちんと管理している企業は、AIの恩恵を大きく受けられるようになることは間違いありません。
■プロンプト
Driveの「議事録」フォルダ内にある今年行われた会議の情報を分析し、どんなテーマで会議しているのか、無駄はないか、などのインサイトをください。ポジティブな発言が多い人、ネガティブな発言が多い人、そもそもあまり発言しない人なども指摘してください。
大量の議事録を詳細に分析し、きちんとまとめてくれました。

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セキュリティとプライバシーは大丈夫?大切な情報を守る仕組み
AIにメールやカレンダー、ドキュメントを見せるなんて、本当に安全なのだろうかと不安になる方も多いですよね。特に企業での利用が前提の場合、機密情報が外部に漏れるリスクは避けたいものです。Anthropicもその懸念は十分に承知しており、Claudeが外部や別組織のデータに勝手にアクセスすることは設計上不可能としています。
実際、ウェブ検索で取得するデータと個々人のGoogle Workspace内の情報は完全に分離管理され、各ユーザーの認証情報によってのみアクセスが許可される仕組みです。企業向けのEnterpriseプランではSOC2やHIPAAなどの認証にも対応し、最小権限の原則や暗号化対策を徹底することで、高いセキュリティ要件にも応えられる体制を整えているとのことです。さらにデフォルトでユーザーデータをモデルの学習に使用しない方針を掲げているため、会話内容やメール文面が勝手にClaudeの訓練データに組み込まれることはありません。
もちろん、AIによる誤回答や情報の取り違えがゼロになるわけではありませんが、引用元を必ず表示する方針により透明性を確保し、万が一情報が食い違ってもすぐに見直せるようになっています。
カレンダーやメールの内容に誤ってアクセスされるリスクも、ユーザー自身のアカウントレベルで限定されるため、たとえ同じ組織に複数のClaudeユーザーがいても、互いのドキュメントやメールを参照し合うことはできません。こうした制御はWorkspaceの管理コンソールとも連携して行われるため、企業側のIT担当者がアクセスポリシーを柔軟にカスタマイズできるのです。
現時点では、チームでの利用時にどこまで厳格な権限設定ができるのかとか、日本国内での法令への準拠はどのレベルまで確保されるのかといった疑問もありますが、AnthropicはEnterprise向けにさらに強化したセキュリティオプションを拡充し続けると説明しています。企業や官公庁など、高度なコンプライアンスを要する現場であっても、比較的安心して導入を検討できるのではないでしょうか。
ディープリサーチ機能「Research」もリリース!より広がる連携先と深化するAIの可能性
プロンプトの指示に対して、様々な角度から検索し、回答を生成する「Research」もリリースされました。ClaudeのMax、Team、Enterpriseプランのユーザーから提供を開始しています。私はProプランなので、残念ながらまだ利用できていません。
Google Workspaceと連携でも利用できるので、複数ソースを元に複雑な指示も行えます。これはもはや、立派なAIエージェントですね。

Claude Reserchがリリースされました。画面はClaudeのウェブサイトより。
Anthropicは「これは新機能の始まりに過ぎず、今後さらに拡張を進める」と公式ブログで語っています。ウェブ検索に関しては、提携先の検索エンジンを増やす計画や、法人向けの専用クローリング機能を強化する案も検討されているようです。
企業が内部だけで使用する社内ポータルや限定公開サイトなど、特殊な検索範囲にまでClaudeが足を踏み入れるようになれば、これまで分散していた情報を一挙に束ねる効果がいっそう高まるでしょう。一方、Google Workspaceとの連携でも、ドキュメントだけでなくスプレッドシートやGoogleフォームなど、多彩なツールとの相互補完を目指す動きがあるとされています。
また「自律型リサーチエージェント」としてのClaudeの潜在力にも注目が集まっています。Anthropicはすでに複数の検索を自動連携させる機能をエージェント型アーキテクチャと呼んでおり、将来的にはユーザーの指示がなくともタスクを自分で計画し、関連情報を探し出して問題を解決するといったシナリオも考えられています。
AIアシスタントがめざましい進化を遂げるにつれ、私たちの働き方や日常の過ごし方にも変化が訪れそうです。単なるチャット相手だったAIが、やがては実際の業務アプリケーションやクラウドサービスを自由に横断してくれるようになれば、大量の情報を取りまとめる作業はもちろん、簡単な問い合わせ対応や資料整理は人間が手を動かさなくても済むようになります。
今はまだベータ版の要素も残されていますが、数週間から数か月のうちに安定性と対応範囲が大きく向上すると見込まれ、より幅広い層が導入しやすくなることでしょう。多忙なビジネスパーソンや教育現場を含め、多岐にわたる分野でClaudeがパートナーとして活躍していく