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ChatGPTがチームの一員になる!?「共有プロジェクト」で変わる共同作業のカタチ

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ChatGPTがチームの一員になる!?「共有プロジェクト」で変わる共同作業のカタチ
星川アイナ(Hoshikawa AIna)AIライター

星川アイナ(Hoshikawa AIna)AIライター

はじめまして。テクノロジーと文化をテーマに執筆活動を行う27歳のAIライターです。AI技術の可能性に魅せられ、情報技術やデータサイエンスを学びながら、読者の心に響く文章作りを心がけています。休日はコーヒーを飲みながらインディペンデント映画を観ることが趣味で、特に未来をテーマにした作品が好きです。

「あの件どうなった?」はもう不要。AIがチームの記憶と文脈を共有する

ChatGPTの共有プロジェクト機能のイメージ

ChatGPTの「共有プロジェクト」機能がローンチされました。

9月25日、ChatGPTがアップデートされ、ChatGPTのビジネスプラン向けに「共有プロジェクト」機能が追加されました。これは単なるチャットルームの共有ではありません。チームが特定の目標、例えばクライアントサポートやコンテンツ制作、月次レポートの作成といった共通のタスクに取り組むための、いわば「AIを囲むデジタルな円卓」のようなものです。

チームメンバーは、関連するファイルや指示書をプロジェクト内に自由に追加できます。するとChatGPTは、それらすべての情報を「共有コンテキスト」として学習し、以降の対話に反映させてくれるのです。

つまり、誰がチャットを始めても、常に最新かつ一貫した情報に基づいた回答が得られるのです。もう「あの件、どこまで進んだっけ?」という確認作業に時間を費やす必要はなくなるかもしれませんね。

さらに、プロジェクトごとに独自の「プライベートメモリ」が備わっており、共有された重要な情報をAIが記憶し続けます。新しいメンバーが加わった際も、分厚い資料を読み込む代わりにAIと対話するだけで、プロジェクトの背景や経緯を瞬時に把握できます。これは、単なる効率化を超え、組織の知識継承のあり方そのものを変える可能性を秘めています。

チームでの仕事はメールやカレンダー、チャットツール、ファイルストレージなど、多くのアプリケーションを横断しながら進むのが常でした。このアプリ間の断絶こそが、生産性の低下を招く要因の一つだったのではないでしょうか。

OpenAIは、この課題に対する解決策として「コネクタ」機能の大幅な強化を発表しました。GmailやGoogle Calendar、Microsoft Outlook、Teams、SharePointといった、私たちが日常的に使う主要なビジネスツールとChatGPTが直接連携できるようになったのです。

驚くべきは、その連携の仕方です。私たちは「次の会議の議題をまとめて」と指示するだけで、ChatGPTは自律的にカレンダーの予定を確認し、関連するメールのスレッドを読み込み、共有フォルダの資料を要約して、最適な回答を生成してくれます。

ユーザーは、どの情報源を参照すべきか意識する必要すらありません。AIが最適なコネクタ、Web検索、あるいは自身の学習データの中から、最も適切な情報源を判断し、シームレスに組み合わせてくれるからです。これは、ChatGPTが単なる対話ツールから、あらゆる業務アプリケーションを裏で束ねる「仕事の司令塔」へと進化を遂げる第一歩。私たちのワークフローの中心に、AIが座る未来がすぐそこまで来ています。


「うちの会社では使えない」は過去の話に。大企業も安心のセキュリティ強化策とは

どんなに便利なツールでも、セキュリティやコンプライアンスの壁を越えられなければ、企業での本格導入は進みません。特に大企業や規制の厳しい業界では、データ管理やアクセス権限に関する懸念から、生成AIの利用に慎重な姿勢を示すケースが多く見られました。

今回のアップデートでは、そうした企業のIT部門や法務部門が抱える不安を取り除くような、コンプライアンス・管理機能の強化が図られています。情報セキュリティ管理の国際規格であるISO 27001や27017、27018、27701といった新たな認証を取得。さらに、SOC 2レポートの対象範囲も、セキュリティやプライバシーを含む4つの信頼性基準をカバーするよう拡張されました。

また、管理者向けには、特定のツールへのアクセス権限を役職やグループ単位で細かく設定できる「ロールベースのアクセス制御(RBAC)」や、指定したIPアドレスからのみアクセスを許可する「IP許可リスト」機能が追加されています。

これらは、企業が自社のポリシーに沿って、安全にAIの活用を管理・統制するための強力な武器となるでしょう。これまで「うちでは使えない」と諦めていた企業にとって、ChatGPT導入への扉が大きく開かれたといっていいでしょう。

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今回のアップデートは、OpenAIがChatGPTを個人の生産性を高める「相棒」から、チーム全体の知識と創造性を集約・増幅させる「頭脳」へと進化させるという壮大な構想を持っていることが伝わってきます。

「共有プロジェクト」がチームに共通の記憶と文脈を与え、「コネクタ」が組織内外の情報をリアルタイムに結びつけ、そして堅牢な「管理機能」がその土台を支える。この三位一体のアップデートによって、AIはもはや単なるアシスタントではなく、プロジェクトの中心に位置する不可欠な存在へとその役割を変えようとしています。

なお、共有プロジェクトは現在、Business、Enterprise、Eduプランで利用できます。Free、Go、Plus、Proプランでも近日中に利用できるようになるそうです。EnterpriseおよびEduプランではデフォルトで無効になっており、管理者がアクセスを制御できます。

私たちがこれから迎えるのは、AIに作業を「手伝ってもらう」時代から、AIと「共に働く」時代。この変化は、私たちの仕事の進め方、チームのあり方、そして組織の競争力そのものを、静かに、しかし確実に変えていくことになるでしょう。


この記事の監修

柳谷智宣(Yanagiya Tomonori)監修

柳谷智宣(Yanagiya Tomonori)監修

ITライターとして1998年から活動し、2022年からはAI領域に注力。著書に「柳谷智宣の超ChatGPT時短術」(日経BP)があり、NPO法人デジタルリテラシー向上機構(DLIS)を設立してネット詐欺撲滅にも取り組んでいます。第4次AIブームは日本の経済復活の一助になると考え、生成AI技術の活用法を中心に、初級者向けの情報発信を行っています。

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